【2022年度版】BtoB-EC市場規模|EC化率は35.6%に成長@経済産業省
BtoBにおいて業務効率化を図る場合、どこから着手していけばよいのでしょうか? 情報はますます重要度を増し、そのやり取りのスピードも求められるようになってきています。このような状況下で、最も効果が大きい業務効率化はどのような手法になるでしょうか。BtoBの営業やバックヤードにおける業務効率化と、その手法について考えます。
いろいろな手法がある業務効率化
「業務効率化」という目標は、多くの企業、多くの現場で掲げられていると思われます。確かに、業務効率化には多くのメリットがあります。しかし、大切なのはそれを達成するための手法です。業務効率化を実現するために行われる代表的な手法と、業務効率化によるメリットを見ていきましょう。
業務効率化の種類
業務効率化を目指す際に、一般的に行われる手法としては以下のようなものが挙げられます。
- 標準化
最適な業務手順を定め、それを全員が遂行できる環境を整えることで効率化を追求します。接客時に個別対応が求められる小売店のようなBtoCとは違い、顧客とのやり取りがある程度は固定化されているBtoBでは、より大きな効果が生まれます。 - 非属人化
非属人化とは、属人化をやめること、つまり「その人しかわからないやり方、できない作業などをなくすこと」です。標準化と重なる部分もあります。属人化には「その作業のプロフェッショナルにする」というメリットがありますが、担当者の不在によりすべての業務がストップする、品質確認が機能しない、知識・技能の継承・共有ができない、などのデメリットの方が大きく、業務効率化からは遠ざかってしまいます。 - 自動化
作業をパソコンやロボット、自動機などの機械に任せることができると、業務効率化に直結します。ただし、イニシャルコストと確実なシステム構築が必要な点に注意しなければなりません。 - 社内リソース配分の最適化
社内リソースとは、ヒト・モノ・カネを中心とした社内にある資源のことを指します。また、これに保有する情報を加える場合もあります。人員や機材を適材適所に配置し、必要な部門に必要な資金を投入することで全体の業務が効率化されます。 - ツールの活用
例えば、製造現場に便利な道具を配備すれば、作業は以前より効率化されます。同様に、経理や事務といった作業においては、便利なアプリケーションの導入がそのまま業務効率化に結びつきます。作業者の慣れや熟練だけに頼らず、ツールを導入したり、アップデートしたりすることも業務効率化の手法として重要です。
このほかにもさまざまな手法がありますが、限られた条件の中で最も効果が見えやすいのはツールの活用です。標準化や非属人化は長い期間をかけて達成する手法となりますし、自動化は多大なイニシャルコストを必要とする場合が多く、予算組みと稟議に時間がかかります。また、社内リソースの最適化は一部門だけで決定できるものではなく、経営陣の判断が必要となります。そういった面から考えても、ツールの活用が最も迅速に業務効率化を実現できる手法といえます。
業務効率化によるメリットの分類
では、業務を効率化すると、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。3つの観点から分類してみましょう。
- 人材面でのメリット
業務効率化により生産性が向上し、現在保有するリソースで最大限の成果を生み出せるようになります。労働生産性の向上は、実質的な雇用条件の改善を意味するため、優秀な人材の確保にもつながります。また、効率化により「新たな施策」や「よりクリエイティブな業務」にチャレンジする時間ができる、というメリットもあります。 - コスト面でのメリット
業務を効率化する過程において、「ペーパーレス化」や「副資材のコスト削減」という副作用的な効果が生まれることがあります。これらはコスト面での効果として、すぐ目に見える部分です。また、業務効率化により生産性が向上すると、残業代を含めた人件費の削減にもつながります。 - 情報面でのメリット
情報に関する業務効率化を行うときは、多くの場合、散り散りになった情報を統合する必要があります。情報が統合されることにより、情報の「見える化」と「共有化」が実現されます。また、隠れていた情報も見えるようになり一元化されるため、判断材料として使いやすく、意思決定の迅速化、企業の課題の可視化につながります。
営業とバックヤードを効率化するには
業務の効率化については、現場や職種の違いによっても手法や難易度が異なります。例えば、ものづくりの現場における業務効率化はいくつかのパターン(手法)が確立されており、機器の導入や作業の自動化によって改善できるケースが多いといえます。
一方、営業やバックヤードの業務効率化はどうでしょうか? これらの業務に関しては、さまざまな手法が提案・提唱されていますが、統一された手法はなく、答えは見つけにくいのが現状です。そこで必要となるのが「基本に立ち返ること」です。ミスの削減と標準化、属人化解消といった模範解答ともいえるような内容から着手することが近道です。
そういった点から考えると、営業の業務効率化を進めるときは、業務の大半を占めることが多い「事務作業の効率化」から始めると大きな効果を期待できます。さらに、事務作業を細分化し、効果の大きな部分から着手していくのが基本です。事務作業の中で最も時間を要するものは、受注・発注などの作業です。これらを効率化できるツールを導入することで、現在の課題を改善できる可能性が高くなります。
さらに、これらの業務のオンライン化・EC化を進めると、より効率化のスピードは向上し、短期間で大きな効果に結びつく可能性が高くなります。
BtoBをEC化することによって生まれる効果
受注・発注の業務がEC化することにより、どのような効果が生まれるのでしょうか。また、その効果を最大化するために必要なツールの選定ポイントとはどのようなものでしょうか。
<一緒に見ておきたい記事>生産性の向上、新規取引先の拡大が期待できるBtoBのECとは
EC化は受注側・発注側の双方にメリット
BtoCに比べて、BtoBでは「EC化によるメリット」が見えやすく、大きな改善効果が現れやすいといえます。というのも、印象や雰囲気といったあいまいなものではなく、「利益があるかどうか」という企業にとっての最終目標を判断基準にできるからです。
受注業務のEC化により「業務の効率化」というメリットを受けられるのは自社だけではありません。在庫や発送状況、商品の詳細説明をインターネット上で提供できるなど、顧客側にもメリットが生まれます。
また、業務効率化はサービスの向上にも貢献するため、それに伴って顧客満足度も向上していきます。顧客満足度の向上は「発注側が満足している」、すなわち発注側にメリットがあることの現れであり、受注側にとっても安定受注につながる大きなメリットとなります。
EC化ツール選定時の重要ポイント
受注・発注の業務をEC化するときに、自社内でシステムを構築するのは現実的ではありません。ヒト・カネ・モノを含めた多くのリソースを開発に注ぎ込まなければならず、ノウハウや開発環境がない場合はゼロからのスタートです。
そこで、EC化をすぐに実現し、業務を効率化する手法としてツールの活用が必要となります。ツールの選定にあたり、次の要件を備えたツールを候補として検討するのが基本です。
- 人為的ミスの削減
EC化のメリットとして、電話での聞き間違いやFAXの読み間違いなど、人為的ミスを防げるという点があります。逆に考えると、EC化する際にこの点を軽視してしまうと、EC化のメリットが小さくなることを意味します。よって、人為的ミスの防止に重点を置いたツールを選定しなければなりません。 - 属人化の解消
せっかくツールを導入しても、「そのツールを使えるのは1人だけ」という状況では属人化によるデメリットが大きく、業務効率を最大化できません。「担当者しか使えない」または「取引価格や条件を覚えていない」といった状況に陥らないように、使いやすく学習機能のあるツールを選ぶと、属人化の問題を解消できます。 - 作業時間の短縮
BtoBでは固定化された取引が多いため、こういった部分を自動化できると業務効率化に直結します。自動化機能の有無は必ず確認しておきましょう。 - BtoCとのすみ分け
BtoCとBtoBでは、商習慣や取引方法において、いくつか異なる点があります。こういった部分に対応する、BtoBに最適なツールを選定することも重要です。 - 新規顧客の開拓
受注業務のEC化を行うときに懸念されるのが新規顧客の開拓です。営業が足を運ぶことで新規顧客の開拓につながる、と考える人はまだ多いかもしれません。また、ECで新規顧客を開拓する場合は、情報公開のバランスが難しくなりがちです。新規顧客になりうる層が求める情報だけをウェブbに公開し、社外秘にしたい部分は公開せずに商品を掲載できる機能があれば、新規顧客の開拓ツールとしても活用できます。 - 既存システムとのデータ連携
すでに受発注システムや在庫管理システムを使っている場合は、それらの既存システムとデータ連携ができるツールを選択しないと、システムの移行・併用に多大な労力を要することになります。データ連携が可能かどうかは必ず確認しておきましょう。
<一緒に見ておきたい記事>課題山積の受発注業務、その改善・改革により利益をアップさせる方法は?
まとめ:受発注のEC化は業務効率化に直結する
ここでは、BtoBにおける業務効率化と、EC化を実現したときのメリット、注意点についてご紹介しました。BtoBにおいて、営業やバックヤードの作業効率化を実現する際に鍵となるのは、受発注を中心とした事務作業の改善です。なかでも、EC化は最も効果が現れやすいプロセスです。そのためのツールは、要件を満たし、かつ使いやすいものでなければなりません。EC化とツールの活用、この2点を同時進行しながら業務効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
参考: