新規事業の立ち上げや既存商品の底上げに欠かせない顧客分析とは?

2020月12月19日
新規事業の立ち上げや既存商品の底上げに欠かせない顧客分析とは?

新たに事業を開始する、もしくは既存商品の底上げを図る場合、新規顧客の開拓やさらなるリピーターの創出が欠かせません。その際に、必ず行うべきことの一つとして「顧客分析」があります。現在、自社の商品を購入している顧客は、「どういった層なのか?」「新規事業のターゲットと同じか、それとも異なるのか?」、さらには、「新たなチャネルとして検討している先に自社の顧客はいるのか?」など、顧客の分析なくしては成功の確率は高まりません。そこで今回は、顧客分析の重要性をはじめ、分析の方法、分析の結果を基にした戦略立案のポイントなどをお伝えします。

自社の現状を知るうえでかかせない顧客分析

顧客分析は「自社の現状」を知るための手段の一つです。自社の商品、サービスを購入・利用した方の性別、年齢、居住地、購入(利用)回数、頻度、購入単価、決済方法、問い合わせ内容、購入経路などの情報を収集し、分析します。顧客分析を行う主な目的は次の通りです。

1.現状の把握

企業が継続的に利益を上げていくためには、売れている商品が、どこで、誰に、どんな買われ方をされているのかを明確にする必要があります。もちろん、売上を見れば何が売れていて、何が売れていないかの把握は可能です。しかし、それだけでは「自社の戦略が正しいのか、それとも間違っているのか」を把握できません。まずは、顧客分析を行い、一つひとつの商品の売れ方を明確にし、現状をしっかりと把握します。

2.戦略の再確認

例えば、30代男性をターゲットに開発、販促を行っている商品の購買者を年齢別で見たところ、実は20代男性が最も多く購入していた、という結果が出たとします。これは自社のターゲットとしている顧客層を見直したほうがよいと考えられます。あるいは、30代男性というターゲットを軸にする場合には、既存商品の改善も必要となるでしょう。販売戦略の評価、再確認、そして、商品改善のヒントを得るのも顧客分析の重要な目的です。

3.新規事業の立ち上げにかかるリスク低減

新規事業の立ち上げには、市場調査、商品の研究開発など、多くの手間とコストを要します。そのため、失敗すると企業に大きな損失が発生し、場合によっては既存事業にまで影響を及ぼしてしまうというリスクが伴います。このリスクを抑える方法の一つが、「現状の顧客が興味関心を示すもの」の把握であり、顧客分析はそれを知るうえでの有効な手段です。現状の顧客が興味を持ちそうな分野の事業開発を行えば、初期段階での新規顧客開拓コストを下げつつ、リスクを抑えながら新規事業を立ち上げることが可能です。

既存商品を改善する場合も、将来的な売上予測を立てる場合も、まず「現状がどういった状態であるのか?」を知っておかなければ間違った方向へ進んでしまうリスクがあります。そういった意味で、現状を把握する手段として「顧客分析」は高い効果があるといえるでしょう。

正しい顧客分析を行うための方法

ひと口に顧客分析といっても、その方法は一つではありません。そこで、顧客分析を行う際の主な方法をいくつか紹介いたします。

1. セグメンテーション分析

顧客分析のなかでもポピュラーなもので、性別、年齢、居住地、購入頻度といった特定の基準を設け、その基準のなかで顧客を分割(セグメンテーション)して分析する手法です。これにより、「自社の顧客像やニーズ」が明確になります。

2. RFM分析

「直近の購入時期」、「購入頻度」、「購入額」の三つの軸で顧客を分類し、それぞれの軸ごとにランク分けを行い分析する手法です。これにより、直近に購入した顧客、購入頻度の高い顧客、購入額の高い顧客など、「自社にとって優良な顧客がどれくらいいるのか?」が明確になります。

3. デシル分析

ラテン語で10分の1という意味を持つ「デシル」。転じてデシル分析とは、購入額の多い顧客を10のグループに分け、それぞれの購入比率や売り上げ構成比を算出して分析する手法です。これにより、「自社の売上に最も貢献しているのはどのグループか?」が明確になります。

4. CTB分析

Category(カテゴリー)、Taste(テイスト)、Brand(ブランド)の3つの軸で顧客を分類し、分析する手法です。顧客の趣味嗜好を把握でき、今後、「どのような購買行動がとられるのか?」、「どんな商品を購入するのか?」を予測する際に活用できる手法です。

5. NPS

ネット・プロモーター・スコアの略で、顧客ロイヤルティを数値化し、分析する手法です。顧客ロイヤルティとは、自社の商品に対する信頼や愛着を指すもので、顧客に対して「自社の商品を家族や友人に薦めたいか」といった質問を行い、0~10の11段階評価で回答してもらいます。これにより、「自社商品の推奨者がどのくらいいるのか?」が明確になります。

 

顧客分析の結果を戦略立案に生かすためのポイント

 

続いては、それぞれの分析手法で得た結果をどう戦略に落とし込んでいくのか、そのポイントについて説明します。

1. セグメンテーション分析の活用ポイント

過去の購買履歴を基にグループ分けを行い、それぞれのグループで対策を講じます。例えば、「東京で一人暮らしをしている20代女性のグループをつくり、快適な通勤を実現する靴を販促する」、「テレワークを行っている40代男性のグループをつくり、長時間座っていても疲れないイスを販促する」といったものです。ターゲットのニーズを明確にし、ピンポイントで効率的に販促を行います。

2. RFM分析の活用ポイント

購買額、購入頻度、直近購買日のランキング上位、もしくは3つの軸を組み合わせて、それぞれに合わせたサービスの提供を行います。例えば、購入頻度の低い顧客に対するクーポンの発行、購入頻度の高い顧客に対する新商品のサンプルプレゼントなど、リピート購入、追加購入の機会を増やす施策を行います。

3. デシル分析の活用ポイント

売上貢献度の高いグループと低いグループでそれぞれに異なるアプローチを行います。最も売上に貢献しているグループには新商品や比較的高額な商品をお薦めする、売上貢献が低いグループには低額商品や訳あり商品など、お得な商品を薦めます。

4. CTB分析の活用ポイント

男性向け、女性向けといった大きなカテゴリーで分類する。赤系統の服やシルク素材などテイストによって分類する。さらに、ブランドによる分類を行い、それぞれを組み合わせた販促を進めていきます。例えば、いつもAというブランドの服を購入している女性顧客に対して、BというブランドのなかでAに近いテイストの服を販促する、といった形です。

5. NPSの活用ポイント

推奨度の高い顧客、低い顧客、それぞれに対して適したサービスの提供、改善を行います。例えば、推奨度の低い顧客の場合は、その理由を深堀りし、評価を下げているポイントを見つけて改善をする。推奨度の高い顧客の場合は、周囲にお薦めしやすいサンプルを購入時にプレゼントします。

まとめ:自社の顧客を正しく知ることが継続的な利益を生み出す

自社の顧客を知れば、自社の現状がわかるだけでなく、将来的な予測も立てやすくなります。そのため、「既存商品の売上を伸ばすための改善策を知りたい」、「新規事業を立ち上げたいが、自社の顧客はどういったものを求めているのか?」などを知るときに「顧客分析」は最適な方法といえます。

ただし、今回紹介したように、顧客分析には複数の手法があり、間違えた手法を選択してしまうと戦略立案もできなくなります。目的をはっきりさせないまま、ただ顧客の現状を知っても何の役にも立たないでしょう。これを避けるには、まず「顧客の何を調べたいのか」、それを調べることで「何の役に立てたいのか」を明確にする必要があります。
目的が明確になれば自ずと分析手法も絞られるため、意味のない分析を何度もしなくても済むようになります。将来にわたって継続的な利益を生み出すためにも、しっかりと計画を立て、最適な分析を選択しましょう。

 

参考:

顧客分析とは?目的・5つの分析手法・おすすめツールをわかりやすく解説します!|BOXIL

顧客分析で賢く集客!主な分析方法や集客のポイントとは?|DiGiLAB

ニーズをつかむにはまず「顧客分析」!具体的な分析方法のまとめ|cyzen

CRMの顧客データはどう扱うの?活用・分析方法を徹底解説|GENIEE’s LIBRARY

NPSとは?顧客満足度との違いから質問方法、日本国内の事例まで詳しく解説!|Emotion Tech

顧客分析に効果的なフレームワーク5選 RFM分析等の活用方法を紹介|CXcollege

著者について
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Bカート運営部 Bcart Operations Department

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