BtoB ECのメリットとは？業務効率化と販路拡大を実現するポイントを解説！

BtoB ECとは？

BtoB ECとは、「Business to Business Electronic Commerce」の略で、卸売や法人向け販売として、企業が他の企業に対して商品やサービスを販売する電子商取引のことを指します。従来は電話やFAX、対面営業で行っていたた企業間取引を、インターネット上のECサイトを通じて行う仕組みです。これにより、受発注業務の効率化や新たな販路の開拓が期待できます。

BtoB ECとBtoC ECの明確な違い

BtoB ECとよく比較されるのが、企業が一般消費者に商品を販売する「BtoC EC」です。両者は取引相手が違うだけでなく、求められる機能も大きく異なります。BtoC ECが不特定多数の個人を対象とするのに対し、BtoB ECは特定の企業と継続的に取引するケースが一般的です。そのため、取引先ごとに異なる価格設定（掛率）や、月末にまとめて請求する「掛け売り」といった、企業間取引特有の商習慣に対応する機能が必要となります。

機能	BtoB EC	BtoC EC
顧客対象	取引先ごとに異なる（一物多価）	個人（不特定多数）
価格設定	個人的な欲求	全ての顧客で同じ（一物一価）
決済方法	掛け売り、銀行振込、請求書払い、クレジットカード、代引き	クレジットカード、代引き、コンビニ決済、銀行振込、ID決済（○○Pay）
承認機能	複数担当者による承認フローが必要	不要
取引量	大ロットでの取引が多い	小ロットでの取引が多い

BtoB ECの主な運用形態

BtoBでは、取引先ごとに価格や条件が異なることが多いため、目的に応じて公開範囲をコントロールし運用するのが一般的です。BtoB ECサイトの公開範囲は大きく3つの種類に分けられます。

1. クローズド型（完全会員制）
   会員ログインをしないとサイト自体が表示されず、商品も価格も閲覧できない運用形態です。一般の方や同業者に商材を見られないため、既存取引先向けに情報を限定しながら、受発注業務を効率化したい場合に適しています。
   
2. セミクローズド型（会員のみ販売）
   非ログインでも商品は見せつつ、価格や購入はログイン後の会員に限定する運用形態です。商品情報を公開して新規顧客（見込み客）との接点を作りながら、価格は伏せてBtoB特有の見せ方に対応できます。
   
3. オープン型（非会員にも販売）
   非会員でも価格の閲覧や注文が可能な運用形態です。一般的なネットショップに近い形で、これまで接点のなかった新規顧客を獲得したり、小口取引の顧客に対応したりするなど、販路を最大化したい場合に有効です。

拡大を続けるBtoB ECの市場規模

経済産業省の調査によると、日本国内のBtoB EC市場規模は年々拡大傾向にあり、2024年度には514.4兆円、EC化率は43.1%に達しています。これは、働き方改革による業務効率化の要請や、インターネットを利用した仕入れ先の選定が一般的になったことなどが背景にあります。今後もこの流れは続くと予測されており、BtoB ECの導入は、企業が競争力を維持し、成長を続ける上で重要な経営戦略の一つとなっています。

参考：経済産業省「令和 6 年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

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BtoB EC導入のメリット

BtoB ECの導入は、多くのメリットをもたらします。ここでは、代表的な4つのメリットについて具体的に見ていきましょう。

メリット1：受注から管理までの業務を効率化できる

従来のアナログな受注方法では、電話応対やFAXの確認、基幹システムへの手入力など、多くの時間と手間がかかっていました。BtoB ECを導入すれば、顧客がECサイトから直接注文できるようになるため、これらの作業が自動化され、入力ミスなどのヒューマンエラーも防ぎます。また、手入力の負担が減ることで、担当者はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。

メリット2：人件費や通信費などのコストを削減できる

受注業務が自動化されることで、電話対応やデータ入力にかかっていた人件費を削減できます。また、FAXの送受信や注文書の郵送が不要になるため、通信費や紙代、印刷代といったペーパーコストも大幅にカットすることが可能です。これらのコスト削減は、企業の利益向上に直接的に貢献します。

削減できるコスト	具体例
人件費	電話・FAX対応、データ入力業務の工数削減
通信費	電話代、FAX通信料の削減
ペーパーコスト	注文書・請求書の紙代、印刷代、郵送費の削減
営業コスト	遠隔地の顧客への訪問にかかる交通費や移動時間の削減

メリット3：新たな販路開拓で新規顧客を獲得できる

オープン型やセミクローズ型のBtoB ECサイトを公開することで、これまで営業担当者がアプローチできなかった遠隔地の企業や小口取引の顧客など、新たな顧客層に自社の商品を知ってもらう機会が生まれます。ECサイトは「24時間働く営業担当」として、地域や時間の制約を超えたビジネスチャンスを創出し、企業の成長を後押しします。

メリット4：24時間受注可能で販売機会の損失を防げる

電話やFAXでの受注は、企業の営業時間内に限られてします。しかし、BtoB ECサイトがあれば、顧客は自社の都合の良いタイミングで、24時間365日いつでも注文することができます。これにより、営業時間外の注文を取りこぼすといった販売機会の損失を防ぎ、売上の向上に繋げることが可能になります。

BtoB EC導入のデメリット

多くのメリットがある一方で、BtoB ECの導入にはいくつかの課題も存在します。事前にデメリットを理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵となります。

デメリット1：システムの導入にコストがかかる

BtoB ECサイトの構築には、初期費用や月額の運用費用が発生します。とくに、自社の複雑な商習慣に対応するためにシステムをカスタマイズする場合、コストは高額になる傾向があります。導入を検討する際は、複数のサービスを比較し、自社の要件と予算に合ったシステムを選ぶことが重要です。長期的な視点で費用対効果を評価しましょう。

デメリット2：既存顧客への丁寧なフォローが必要になる

長年、電話やFAXでの取引に慣れ親しんだ顧客の中には、新しいシステムへの変更に戸惑いや抵抗を感じる方も少なくありません。一方的にECへの移行を進めてしまうと利用が定着しないだけでなく、最悪の場合、顧客離れを引き起こすリスクもあります。操作説明会を実施したり、分かりやすいマニュアルを用意したりするなど、顧客がスムーズに新システムへ移行できるよう、丁寧なサポート体制を整えることが大切です。

しかし、取引先がBtoB ECでの発注に慣れれば、24時間いつでも発注できるほか履歴から再注文できるなど、発注業務がスムーズにできるようになります。結果として利便性が高まり、顧客満足度の向上にもつながります。

デメリット3：社内の業務フローを見直す必要がある

BtoB ECを導入すると、受注の方法だけでなく、バックオフィス全体の業務フローが変化します。たとえば、在庫管理システムや会計システムとのデータ連携が必要になるなど、関連部署との調整が求められます。導入を機に、社内全体の業務プロセスを見直し、ECサイトを最大限に活用できる体制を構築することが成功に繋がります。

BtoB ECサイトの構築方法

BtoB ECサイトを構築するには、主に3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自社の規模や目的に合った方法を選びましょう。

コストを抑えて始められるASP型

ASP（Application Service Provider）型は、クラウド上で提供されている既存のシステムを利用する方法です。サーバーの構築や管理が不要で、比較的低コストかつ短期間で導入できるのが最大のメリットです。初めてBtoB ECに取り組む企業や、まずはスモールスタートしたい企業におすすめです。

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柔軟なカスタマイズが可能なパッケージ型

パッケージ型は、ECサイトに必要な機能がパッケージ化されたソフトウェアを自社のサーバーに導入して利用する方法です。ASP型よりもカスタマイズの自由度が高く、自社の独自の商習慣に合わせた機能を追加しやすいのが特徴です。基幹システムとの連携も柔軟に行えますが、その分、導入コストは高くなる傾向があります。

独自性の高いサイトを構築するフルスクラッチ型

フルスクラッチ型は、既存のシステムを利用せず、ゼロから完全にオリジナルのECサイトを開発する方法です。デザインや機能をすべて自由に設計できるため、他社との差別化を図り、理想のサイトを実現することができます。ただし、開発には莫大なコストと時間が必要となるため、大規模な投資が可能な企業向けの選択肢と言えます。

BtoB ECの導入成功事例

BtoB ECを導入することで、実際にどのような成果が生まれるのでしょうか。ここでは、成功事例を2つご紹介します。

よくある質問

最後に、よくある質問についてをご紹介いたします。

Q2. 電話やFAXに慣れている既存顧客が、ECサイトを使ってくれないのではと心配です。

一方的にECへの移行を強制するのではなく、丁寧にフォローすることが大切です。操作説明会を開いたり、分かりやすいマニュアルを用意したり、最初は電話・FAXとECを併用する期間を設けるなど、顧客がスムーズに移行できるようサポート体制を整えることで、利便性を理解してもらいやすくなります。

Q3. 中小企業でもBtoB ECを導入するメリットはありますか？

はい、中小企業にこそ大きなメリットがあります。BtoB ECを導入することで、これまで人手不足で対応しきれなかった受発注業務を自動化でき、営業担当者は新規開拓などのコア業務に集中することができます。また、ECサイトは新たな販路として機能するため、エリアを問わず全国から新規顧客を獲得できるチャンスも生まれます。

まとめ

本記事では、BtoB ECの基本的な概念から、導入のメリット・デメリット、必要な機能、そして成功事例までを網羅的に解説しました。BtoB ECの導入は、単なる業務効率化ツールにとどまらず、新たなビジネスチャンスを創出し、企業の競争力を高めるための重要な戦略です。
自社の課題を解決し、持続的な成長を遂げるために、BtoB ECの導入を検討してみてはいかがでしょうか。