【2022年度版】BtoB-EC市場規模|EC化率は35.6%に成長@経済産業省
市場規模が420兆円を突破し拡大の一途を辿っているBtoB ECにおいて、企業がBtoB ECに取り組む手段も多様化しています。今回はそんなBtoB ECのサービスのなかで、スモールスタートできるものをまとめてみました。「BtoB ECのツールって色々あるけどどんな特徴があるの?」といった方向けに、様々な選択肢のイメージをつかんでいただけたら幸いです。
BtoB ECとは
BtoB ECとは、「企業間取引(Business to Business)における電子商取引(E Commerce)」を指しています。つまりインターネット上で、企業同士が物品やサービスなどを売買する仕組みのことです。
そのなかでも「BtoB ECプラットフォーム」は、BtoB ECを誰でも手軽に利用できるようにしたサービスのことを指します。ECプラットフォームは「ECカート」「ASPカート」とも呼ばれています。
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BtoC ECとの違い
BtoB ECとよく比較される言葉に「BtoC EC」というものがあります。BtoC ECは、企業から個人(Business to Consumer)へのインターネット取引であり、私たちが日常的に利用している「Amazon」や「楽天」「Yahoo!ショッピング」などもBtoC ECの一種です。
BtoCとの比較において、BtoB ECの特徴的な点は、取引先ごとに異なる取引条件(価格・決済条件など)が存在することです。BtoC ECでは当たり前のように誰もが同じ価格で購入できて、支払い方法は複数ある中から選べますが、BtoBではそうもいきません。様々な要素をもとに買い手によって異なる価格が設定され、支払い方法も掛け取引・代引き・前払いなどから事前に取り決められます。
BtoCとBtoBの販売条件の比較図
また、BtoCにも会員限定価格といった販売方法が見られますが、BtoBでは買い手100社に対して10段階のランクに分かれていたり、それこそ1社ごとに異なる価格を100種類設定しているケースがあるのが特徴です。
BtoB ECの市場規模
出典:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書
2022年の日本国内のBtoC EC市場規模は、22.7兆円(前年比9.91%増)となりました。一方、日本国内のBtoB ECの市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)に増加しました。BtoB ECはBtoC ECに比べて、およそ19倍の市場規模となっています。
さらに、商取引のEC化率についてはBtoC ECで9.13%(前年比0.35ポイント増)、BtoB-ECで37.5%(前年比1.9ポイント増)といずれも増加傾向にあり、日本国内の電子商取引市場は今後も拡大していくことが分かります。
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BtoB ECプラットフォームを導入するメリット
ますます利用者が増えているBtoB ECプラットフォーム。これほどまでの拡大を見せているのには、一体どういった理由があるのでしょうか。ここでは、BtoB ECプラットフォームを導入する利点で代表的なものを3つご紹介します。
【メリット①】コストを削減できる
BtoB ECプラットフォームを導入することで、運営コストを大幅に削減できます。従来の電話やFAXを使った受発注業務がオンラインで完結するため、人的リソースや時間を効率的に活用可能です。また、リアルタイムで在庫状況を把握できるため、過剰在庫や欠品のリスクを減らし、在庫管理にかかるコストも削減できます。
【メリット②】顧客体験が向上する
ECプラットフォームを導入すれば、顧客は24時間365日いつでも注文(発注)を行うことができ、顧客利便性が大幅に向上します。さらに、顧客の購入履歴や行動データを活用しやすくなるため、個々のニーズに合わせた商品提案やプロモーションを実施でき、パーソナライズされたサービスを提供することもできるようになります。
【メリット③】売上の増加が見込める
受発注業務のすべてがインターネット上で完結するため、地理的な制約を超えて新たな顧客層にリーチすることができます。文字通り「日本中で」ビジネスを展開することも可能となるのです。また、ECプラットフォームから得られるデータを活用し、マーケティング戦略や販売戦略を最適化することで、売上の増加を期待できます。
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BtoB ECを選ぶ際のポイント
BtoB ECを導入するメリットが分かっても、具体的に自社にどんなBtoB ECサービスが適しているのか判断するのは難しいでしょう。そこで、ここでは簡単にBtoB ECを選ぶ際のポイントをお伝えします。
予算・導入費用で選ぶ
BtoB ECプラットフォームを選ぶ際には、まず予算を明確にすることが重要です。BtoB ECの導入費用は、サービスによって数万円~数百万円になることもあります。また、最初にどれくらいのサポートを受けるか、どれくらいカスタマイズするかによっても大きく費用が変わるので注意しましょう。
機能性で選ぶ
BtoB ECプラットフォームの提供する機能が、自社のビジネスに適しているか確認しましょう。たとえば、在庫管理・顧客管理・注文処理・分析ツールなど、必要な機能が揃っているかどうかを評価します。
また、ユーザーインターフェースが使いやすく、従業員がスムーズに操作できるかも重要な要素です。 これらのポイントを考慮することで、それぞれの企業に最適なBtoB ECプラットフォームを選定し、ビジネスの効率化と成長を促進することができます。
カスタマイズ性や拡張性で選ぶ
自社のビジネスに応じて、BtoB ECプラットフォームをカスタマイズできるかどうかもチェックしておきましょう。柔軟なカスタマイズが可能なプラットフォームを選べば、その分導入難度が上がり、導入にかかるコストも増加します。自社のビジネス領域や将来性なども加味して、冷静に判断することが求められるでしょう。
【比較】人気のBtoB ECプラットフォーム13選
ここでは具体的に、人気を集めているBtoB ECサービス・プラットフォームをまとめてみました。それぞれの特徴についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
※最安プランで比較
サービス名 | 導入実績 | 初期費用 | 月額 | BtoB対応 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
Bカート | 2000 | ◯ 80,000円 |
◯ 9,800円 |
◯ | BtoB専用の機能を無料で利用可能 |
Shopify Plus | - | ◯ 0円 |
◯ $2,500 (1年契約の場合) |
◯ | 世界最大級のECプラットフォームのBtoB版 |
楽楽B2B | - | - | 49,800円~ | ◯ | 特許出願の注文書自動読み込み機能 |
COREC | 3000 | ◯ 0円 |
◯ 0円 |
◯ | 業界屈指の低価格 |
CO-NECT | - | ◯ 0円 |
要見積もり | ◯ | リアルタイムチャットで発注をサポート |
サブスクストアB2B | - | 要見積もり | 要見積もり | ◯ | 定期購入機能に強み |
ecbeingBtoB | 1600 | 要見積もり | 要見積もり | ◯ | 立ち上げ~マーケティングまで支援 |
AladdinEC | - | 要見積もり | 要見積もり | ◯ | 自動化システム×システ連携で効率UP |
ebisumart | 750 | 要見積もり | 要見積もり | ◯ | EC立ち上げ後も手厚い成長支援 |
makeshop (BtoBオプション) |
12000 (BtoC含む) |
◯ 11,000円~+オプション費用 |
◯ 12,100円~ |
△ | 国産ECで知名度トップ 高い資本力 |
ec-cube.co | - | ◯ 無料 |
◯ 6,800円〜 |
◯ | オシャレなデザインテンプレートを利用可能 |
futureshop (BtoCメイン) |
1710 (BtoC含む) |
◯ 22,000円~ |
◯ 24,000円~ |
△ | デザインの自由度が高い |
メルカート (BtoCメイン) |
1600 (BtoC含む) |
△ 190,000円~ |
△ 49,000円~ |
△ | ECサイト公開後も手厚い成長支援 |
Bカート
Bカートは月額9,800円から利用できる、BtoB専用の自社ECサイトを構築できるサービスです。豊富な連携サービスや、無料で使えるAPI、ユーザーの利便性を上げるアップデートなどが特徴。累計導入社数は2,000社を超え、中小企業から東証プライム上場の大企業まで幅広い規模、および業種業態の企業に利用されています。
Shopify Plus
Shopify Plusは、世界トップクラスの知名度を誇るBtoC向けECサービス「Shopify」のBtoBバージョンです。多様なデザインテンプレートや豊富な機能を備えており、オンラインストアや越境EC・オムニチャネルコマースといった多様な機能を備えています。
楽楽B2B
BtoBtoCカート「楽楽BBC」やEC受注管理ツール「アシスト店長」を提供する株式会社ネットショップ支援室のBtoB ECサービスです。決済サービスや送り状発行サービスなど、豊富な連携サービスが用意されており、実績あるパートナー企業によるサイト構築支援もあります。
COREC
CORECは、累計43,000社以上に利用されている受発注システムです。ファッション・インテリアから整備工場まで様々な企業に利用されています。
CO-NECT
CO-NECTは、日本最大級のBAR &ウイスキーコミュニティアプリを展開するCO-NECT株式会社が2019年にリリースした受発注システムです。ビジネス用品や理美容品、アパレル用品やキャラクターグッズなど、幅広い商品の受発注に利用されており、2020年10月には受発注商品数が400万点を超えています。
サブスクストアB2B
BtoC事業者向けシステム「たまごリピート」のノウハウを活かしたBtoB ECプラットフォームです。集客・販売・決済・請求書管理・入金管理・掛け率設定などBtoB取引に必要な機能を提供。とくにサブスクリプション機能(BtoB定期注文)が強みです。
ecbeingBtoB
ecbeingBtoBは、とくに中堅・大手企業のBtoC取引に利用されるBtoB ECサイト構築プラットフォームです。カスタマイズ性の高さや豊富な機能・強固なセキュリティなどが特徴で、企業のEC事業を強力に支援します。オムニチャネルなど、多様な販売形態に対応できる柔軟性も強みです。
AladdinEC
AladdinEC(アラジンEC)は、30年以上のBtoB向けシステム開発経験を活かし、企業間取引に特化して設計された総合的なECソリューションです。得意先別の商品表示や見積機能などのBtoB特有の機能を標準搭載しつつ、業界ごとのニーズに応じた柔軟なカスタマイズが可能です。
ebisumart
ebisumart(エビスマート)は、BtoB取引に特化したクラウド型ECプラットフォームです。商品一括投入機能や受注残管理機能など、BtoB特有の機能を標準搭載。専任サポーターや定期的な少人数ワークショップの開催など、さまざまなサポートが用意されています。
makeshop(BtoBオプション)
GMOグループが手掛ける国産ECプラットフォームです。越境EC対応やGoogleショッピングとの連携などの機能を搭載。販売手数料が0円なので、売上げが上がっても店舗の負担が少なく済みます。メインはBtoC取引向けとなっており、BtoB対応は有料オプションとなります。
ec-cube.co
利用者自身がダウンロードと公開を行なうオープンソース型ECツール「EC-CUBE」を手軽なクラウドで利用できるサービス。豊富なテンプレートとプラグインを活用し、プログラミングの知識がなくてもECサイトを構築可能です。
メルカート(BtoCメイン)
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」をベースに開発されたECカートです。メインターゲットはBtoC/DtoC利用となっています。そのほか、取引や総合通販・定期通販など、様々なタイプのECサイトが構築できます。BtoB向けの定期通販にも対応しています。
futureshop(BtoCメイン)
ライブコマース機能・サブスク販売機能・分析機能など、さまざまな機能が搭載されたサイト。メインはBtoC向けであるものの、近年ではBtoBでの導入事例も増加しています。
おわりに
これからの時代、BtoB ECはあらゆる企業間取引を行う業界において欠かせない存在になっていくものと思われます。今回紹介したツールを導入することが正解というわけではないですが、デジタル化でどんな目的が達成できて、それにはどういったツールがあるのか、といった情報収集段階の方々のお役に立てましたら幸いです。