企業がコンテンツ戦略を実行する際のポイントと注意点

2021月2月26日
企業がコンテンツ戦略を実行する際のポイントと注意点

企業が継続的に利益を上げ成長していくためには、さまざまな戦略を立案・実行する必要があります。多くの企業は、コストと人員の両方に限りがあるため、そのなかで最大の効果を発揮する戦略を選択しなければなりません。そこで今回は、比較的、少ないリソースでも実行が可能なうえ、既存・潜在どちらの顧客にも効果が高いコンテンツ戦略について、その概要とメリット、注意点をお伝えします。

コンテンツ戦略とはどういったものなのか?

コンテンツ戦略を行う目的は大きく分けて2つあります。1つ目は「新規顧客の獲得」、2つ目は「既存顧客の第一想起ブランドとなり、リピーターになってもらうこと」です。ただし、コンテンツ戦略を始めるにあたって、「具体的にコンテンツとはどういったものか?」を理解していないと成果を上げられません。そこで、まずはコンテンツ戦略の「コンテンツとは何を指すのか」について解説します。その主なものは次の通りです。

  • 自社のWebサイトやブログ、SNSなどに掲載する商品・サービスの情報や、顧客が抱えている疑問、不満を自社の商品やサービスで解決するための情報
  • 自社が属する業界の最新情報やトピックス、ホワイトペーパー
  • 広告(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の四大メディアやネットに掲載する広告、PR記事やプレスリリース、店頭POPなど)

上述したコンテンツを、自社のターゲットに合わせて効率的に発信していきます。必ずしもすべてのコンテンツを発信する必要はありません。例えば、認知を獲得したいならば広告を活用する、BtoB企業であればホワイトペーパーや業界情報に注力する、などの使い分けがポイントになります。

コンテンツ戦略が重要視される理由

コンテンツ戦略の「広告」や「ホワイトペーパー」など、多くのコンテンツは古くから活用されてきています。ではなぜ、ここ最近になって重要視されるようになったのでしょうか? その理由としては次のような点が挙げられます。

市場の成熟化、商品・サービスのコモディティ化

多くの業種で市場の成熟化が進み、作れば売れるといった時代はとうに過ぎ去っています。多くの競合の中から自社を選択してもらうには、何かしらの差別化が欠かせません。技術が進化し、インターネットの普及により一瞬にして情報が出回るようになった現在では、どんなに商品の質を上げようとも、以前のような先行者優位はなくなっています。こうした状況のなか、競合から抜きん出るには、コンテンツによる差別化がポイントとなっていきます。

情報は顧客が積極的に探すもの

従来、企業からの情報は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の四大メディアや店頭、チラシなどから受け取るものであり、基本的には受動的なものでした。しかし、現在ではインターネットの普及により、検索や企業のWebサイト、ブログ、SNSなどで、「自ら積極的に探しにいくもの」になりました。そのため、企業はコンテンツを作成し、戦略的に顧客が求める情報を発信しないと見つけてもらうのが困難になっています。裏を返せば、顧客が求める情報を継続的に届けることを積み重ねていくことで差別化につながるというわけです。

国内・海外へ低コストで情報発信が可能

インターネットの普及は、これまで「受け身」でしかなかった顧客の意識を大きく変革しました。もちろん、変革が起きたのは顧客側だけではありません。企業側も大きく変革しています。四大メディアで情報を発信するには多大なコストを要しますが、インターネットを活用すれば、低コストでしかも世界に向けて情報を発信することが可能です。

従来、広く情報を発信できるのは、コストに余裕のある大企業が中心でした。しかし、現在では、企業規模にかかわらず多くの企業がインターネットを活用して、情報発信を行っています。中小企業庁が発表した資料によると、2016年時点における中小企業の数は357.8万社で、日本全体の企業数の99.7%を占めています。これだけの数の企業の多くが積極的に情報を発信するようになったことも、コンテンツ戦略が注目を集め、重要視されるようになった要因といえるでしょう。

コンテンツ戦略を実行する際の注意点

インターネットの普及により、多くの企業でコンテンツ戦略が実行されるようになりました。しかし、多くの企業が実践するからこそ、発信する情報の種類や発信方法に注意しないと、ほかの情報に埋もれてしまい、誰にも気づいてもらえなくなります。そこで、「コンテンツ戦略を実行する際にはどういった点に注意すべきか」を説明します。

企業が伝えたいことではなく、顧客が知りたい情報を発信する

従来、企業が発信する情報は「企業が伝えたい情報」が中心であり、必ずしも「顧客が知りたい情報」ではありませんでした。これは、顧客側の情報源が企業の営業担当者にほぼ限定されていた時代だからこそ成立したものです。顧客側がインターネットによって積極的に情報を探せるようになった現在では、営業担当者が提供する情報だけでは顧客が納得できるとはいえません。なぜなら、多くの場合、顧客は「自分が知りたい情報」を探しているからです。企業が伝えたい情報が必ずしも顧客が知りたい情報というわけではありません。

適切なタイミング、方法で情報を提供する

では、顧客が知りたい情報を発信すれば顧客に気づいてもらえるかといえば、そうではありません。顧客が知りたい情報を「顧客が知りたいタイミング」かつ「知りたい方法」で提供することが求められます。最初の接点が店頭であっても、次の情報も店頭で知りたいとは限りません。最初に興味を持った商品自体の情報は営業担当者から話を聞きたいが、新商品の情報は発売に合わせてメールで知りたい、と思っているかもしれないからです。顧客の知りたい情報を、適切なタイミング、方法で提供するには、コンテンツの質を上げるだけでなく、顧客分析や市場調査なども綿密に行う必要があります。

継続してコンテンツを発信していく体制を構築する

コンテンツ戦略の目的を達成するには、短期ではなく長期で計画を進めていく必要があります。もちろん、広告を使って短期間で認知を獲得していく戦略もありますが、継続的にコンテンツを発信し、時間をかけて顧客からの信頼を集めるのが基本的な戦略です。そのため、インハウスで行う場合は担当者を決め、しっかりと計画を立てたうえで進めていかなければなりません。それが難しい場合は、外部へ委託することも選択肢の一つとして考えておくとよいでしょう。

まとめ:企業視点からどれだけ離れられるかがコンテンツ戦略の成功ポイント

商品・サービス品質の向上、充実したアフターサービスといった要素だけでは、顧客に選択してもらいづらくなってきています。その理由の一つとして、市場の成熟、商品のコモディティ化により、「商品自体の付加価値だけではどの企業を選択してもそれほど大きな変わりがなくなっている」という点が挙げられます。そこで、重要なポイントになるのは、潜在顧客に対してコンテンツを活用して自社の存在を認識してもらう、既存顧客に対しては商品が必要になったときに一番に想起してもらうことです。

ただし、発信するコンテンツは、「量が多ければ多いほどよい」という訳ではありません。また、自社が発信したい情報は、顧客が知りたい情報と一致していない場合には、スルーされてしまう確率が高まります。顧客にコンテンツを届けるには、顧客の求める情報を、適切なタイミングで、適切なチャネルを使って発信する必要があります。そういった意味でも、コンテンツ戦略を成功させる最大のポイントは、「いかに企業視点から離れ、顧客視点でものを考えられるか」にかかっているといえるでしょう。

参考:

コンテンツマーケティングとは?潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる|イノーバ

コンテンツマーケティング|イノーバ

令和元年度小規模企業の動向 令和2年度小規模企業施策(24P)|中小企業庁

著者について
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Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!

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