テレワーク導入にも欠かせないペーパーレス化を進めるためのポイント

2021月8月5日
テレワーク導入にも欠かせないペーパーレス化を進めるためのポイント

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として国が発出した緊急事態宣言。これによりテレワークを導入する企業が急激に増加しました。その結果、注目を集めている取り組みの1つがペーパーレスです。感染防止を目的に、急遽、テレワークを導入した企業は、改めてペーパーレスの重要性を認識されているのではないでしょうか。ここでは、ペーパーレスの概要、メリット・デメリット、ペーパーレス化を進めるためのポイントについてお伝えします。

ペーパーレスの概要と改めて見直されている背景

そもそもペーパーレスとは、オフィスにある資料、カタログ、伝票、書籍、図面などの紙類を電子化し、コスト削減や業務効率化を目指すものです。ただ、従来は法律により、紙として残さなければならない書類が少なくありませんでした。また、閲覧確認のための捺印や契約書の捨て印など、古くからの慣習もあり、思ったように電子化が進んでいないのが現状です。

しかし、その状況も少しずつ変わり始めており、改めてペーパーレスの必要性が見直されています。その背景としては次のような点が考えられます。

テレワーク導入企業の増加

これまでは、「ペーパーレスに多くのメリットがある」とわかっていても、オフィスにいるぶんには紙の資料でもそれほど問題はなかったため、ペーパーレス化は先送りされてきました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークを導入したところ、ペーパーレスが進んでいないことが障壁となり、多くの企業や自治体で改めてペーパーレスの必要性を認識するようになってきています。

資料を電子化するための法改正

ここ数年、国税関係書類のスキャナ保存に関する規制緩和が進んでいます。特に2016年の税制改正では、スマートフォンやデジタルカメラを用いた受領者本人による国税関係書類の電子化が可能になるなど、「より手軽な資料の電子化」が進められてきました。また、2020年度10月に施行された税制改正では、キャッシュレス決済のよるデジタル明細が領収書の代替として利用できるようになりました。こういった動きは、今後さらに進むと予測されます。
このように、テレワークを導入する企業の増加、資料の電子化を促進する法改正などにより、以前に比べてペーパーレス化のハードルは大きく下がっています。同時に、その重要性も見直されています。

ペーパーレス化により生じるメリットとデメリット

続いては、ペーパーレス化により得られるメリットと、課題となるデメリットについて具体的に見ていきます。

ペーパーレス化により得られるメリット

  • 柔軟な働き方の実現
    ペーパーレス化が進めば、資料の確認や押印のための出社がなくなり、在宅勤務などのリモートワークが導入しやすくなります。オフィスにこだわらない「柔軟な働き方」を実現できます。オフィス以外での就業が可能になれば採用活動にも幅が生まれ、優秀な人材を全国から集められるようになります。
  • コスト削減
    印刷やコピーにかかるコストが削減されます。また、それにかかる手間もなくなるため、業務効率化が進み、生産性向上も期待できます。
  • オフィスの省スペース化
    ペーパーレス化により、これまで紙の資料を収納していた書庫が必要なくなれば、その分、オフィスの省スペース化を進められます。状況によっては、今より小さなオフィスに移転することで、固定費の削減につなげることも可能です。また、移転はせずに、空いたスペースを社員同士のコミュニティエリアにしたり、集中して仕事ができる個人ブースをつくったりするなど、生産性向上のための施策も行えるようになります。
  • 検索性の向上
    電子化された資料は容易に検索できるため、資料を探す手間が大幅に削減されます。さらに、メールやグループウェアの活用により、他の社員との情報共有も瞬時に行えるようになります。
  • BCP(事業継続計画)対策
    地震大国である日本では、どこに住んでいても常に地震被害のリスクを抱えています。そのほか、台風やゲリラ豪雨、そして今回の感染症拡大など、「オフィスに出社しなければ仕事ができない」といった体制では、いつ大きな損害が出てもおかしくありません。ペーパーレス化は、そうしたリスクを回避するためのBCP対策としても効果的です。

ペーパーレス化により生じるデメリット

  • 導入コスト
    単純に、今ある資料/カタログ/伝票/書籍/図面などを電子化するだけでも、金銭的、人的なコストがかかります。さらに、電子化を「するもの」と「しないもの」の選別、必要のない紙類の廃棄、電子化により不要となった書庫の処分など、やるべきことは多く、それぞれにコストがかかります。
  • システムダウンや停電
    電子化された書類は、システムダウンや停電などが発生したときに閲覧できなくなる恐れがあります。システムダウンや停電が長期化すれば、業務が滞ってしまうリスクが生じます。
  • 視認性
    現在では電子化技術が進化しているため、以前ほどではありませんが、紙に比べて視認性が悪くなる可能性があります。また、紙のように気軽にメモが残せないことも、ペーパーレス化のデメリットと言えるでしょう。

ペーパーレス化に向いている業務

法改正により、これまでは紙で残さなければならなかった書類も、現在ではその必要がなくなり、ペーパーレス化を進めやすい状況になりつつあります。しかし、そうした状況下でも、業務によっては「紙のままのほうが効率的」という場合があるのも確かです。では、どのような業務がペーパーレス化に向いていると言えるのでしょうか? 具体的には、次のような業務がペーパーレス化に向いていると言えます。

  • 財務・経理・購買
    発注書や見積書、注文書など、多くの紙類を扱う財務・経理・購買部は、数字のチェック、内容確認など細かな作業が多いため、手書きの書類ではミスが起きやすくなります。これらの書類を電子化できれば、検索性も向上し、ミスを軽減する効果が期待できます。
  • 営業
    商談で活用するパンフレットやカタログを電子化し、タブレット端末やノートパソコンに表示させるようにすると、持ち運びが楽になり、常に最新の情報を提供できるようになります。
  • ネット取引
    BtoBやBtoCのネット取引を行う業務は、基本的にすべてネット上で完結するため、ペーパーレス化に最も向いている業務と言えます。特にBtoBのECは、「見積もり」、「発注」、「納品」など、複数回のやり取りが必要になるため、ペーパーレス化することで大幅な業務効率化を実現できます。

まとめ:ペーパーレス化をスムーズに進めるポイントは向いている業務から始めること

これまで何度かきっかけがありつつも、ペーパーレス化が大きく普及しなかった理由のひとつとして、一気にペーパーレス化を進めようとしたことが挙げられます。ペーパーレスに向いている業務がある一方で、向かない業務もあるため、無理やりすべてをペーパーレス化しようとすると、かえって効率が悪くなります。

また、ペーパーレスに向いている業務だからと言って、あまり使わないものまですべてデジタル化しようとすると、余計な手間とコストがかかる、効率が悪くなってしまいます。そこで重要なのは、自社の業務のなかでペーパーレス化に「向いている業務」と「向かない業務」を見極め、向いている業務のなかでも、どれをデジタル化し、どれをそのままにするかを選択することです。闇雲にペーパーレス化を進めるのではなく、計画性を持って進めていくことが、ペーパーレス化を成功させるためのポイントと言えるでしょう。

参考:

自治体職員の88.1%が書類の電子化を希望!新型コロナウイルス後の業務量の増加36.9%|PR TIMES
電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正されました|国税庁(PDF)
令和2年度税制改正の大綱|財務省(PDF)
特集:ペーパーレス最前線 2020|スマートワーク総研
ペーパーレス化のメリットと導入しやすい業界・業務とは?|PFUジャーナル

著者について
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Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!

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