企業間取引でEC化が進む背景とEC化を行うメリット・デメリット

2021月8月18日
企業間取引でEC化が進む背景とEC化を行うメリット・デメリット

2019年5月、経済産業省が発表した「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、日本のBtoB ECの市場規模は、2018年の時点で344兆2,300億円(前年比8.1%増)と報じられています。また、EC化率は30.2%で、約3.3社に1社はECを行っている計算になります。企業間取引といえば、従来は電話やFAX、もしくは直接訪問による営業活動が中心でしたが、インターネットの普及により、その状況は大きく変わりつつあります。そこで今回は、EC化が進む企業間取引において、そのメリットとデメリットについてお伝えします。

EC化が進む企業間取引の今

企業間取引とは、製品、資材、システムなどを企業同士が売買する取引のことを指しています。企業が対価と引き換えに製品や商品、サービスを消費者に提供するBusiness to Consumerを略してBtoCというように、企業対企業の取引はBusiness to Business、すなわちBtoBと略されます。
従来の企業間取引は、営業社員が自ら取引先や自社の製品を求めていそうな企業を訪問し、売り込みを行う「アウトバウンド型」が一般的でした。それがEC化による「インバウンド型」へとトレンドが変わりつつあるのには、次のような理由が考えられます。

業務効率化

少子高齢化が進み、年々、労働生産人口は減少を続けています。このような状況下において、企業が継続的に成長を続けていくには、限られた人数で最大の効果を生み出さなければなりません。EC化はその施策のひとつです。見込みがありそうな相手に足を使って営業をかけるのではなく、ネット上に情報を発信し、興味関心を持った相手に向こうから来てもらいます。これにより、従来の営業活動に比べて人手を使わずに済み、業務効率化も進みます。

関連記事:BtoB ECのメリットは「業務改革」に「効率化」、「事業拡大」

顧客の購買行動の変化

インターネットが普及する以前は、企業間取引において、新商品や資材の情報を入手するのが難しく、販売先の営業社員から直接、情報を得ていました。しかし、インターネットが普及した現在では、ネットから多くの情報を入手可能になっています。そのため、わざわざ営業社員に聞かなくても、情報入手だけでなく、競合との比較検討までもネットで完結できます。購買も、そのままネットで行えるようになっています。こうした購買行動の変化も、企業間取引のEC化が進んだ要因のひとつと言えます。

 

企業間取引をEC化することのメリット

では、実際に、企業間取引をEC化することによって、どのようなメリットが生まれるのでしょうか? ここでは多くのメリットのなかでも主なものを5つ紹介します。

1. 商圏の拡大

営業社員が足を使って商品を販売するスタイルの場合、どうしても営業社員が数時間で移動できる範囲に商圏が限られてしまいます。もっと離れた地域にも販売するには、交通費や宿泊費といった金銭的なコストの増大は避けられません。しかし、ECであれば、商圏は日本全国に拡大可能です。販売する商品によっては、商圏が海外まで拡大する可能性もあります。

2. 受発注業務の標準化・自動化

企業間取引をEC化すると、受発注業務が標準化・自動化され、そのつど手書きの書類を作成する手間が不要になります。これによりミスが減り、業務効率化も実現されます。

3. 顧客獲得コストの低減

EC化により、「顧客にとって有益な情報」をWebサイトで発信続けられるようになれば、自分たちから顧客のほうへ足を運ばずとも、向こうから訪問してきてくれます。アナログな営業活動では、同じ情報を伝える場合であっても、1社ずつ訪問して伝える必要がありました。もちろん、FAXを使った一斉発信も可能ですが、最近では店舗にFAX機を置かない小売業者も増えているため、効果は減少しています。一方、ECの場合は、メールマガジンやSNSなどを使って情報を発信することで、何百、何千もの企業に同時に情報を伝えることも可能です。これにより、顧客獲得のコストは大幅に低減します。

4. 販売チャネルの増加

企業間取引をEC化しても、完全に営業部を廃止する訳ではありません。従来から付き合いのある企業には、これまでどおり営業部がかかわり、それ以外の新規に獲得した顧客をECが賄うようにする。つまり、EC化を販売チャネルの増加と考えると、より高い効果を期待できます。

関連記事:BtoBもオムニチャネル?販売チャネルとチャネル戦略

5. 商品管理の一括化

EC化は販売面だけでなく、商品管理が自動化されるという点においても大きなメリットがあります。特に複数の製造工場を持っている場合、それらをアナログで管理するのは非常に困難でミスも起こりやすくなります。EC化により商品を自動で一括管理できるようになれば、管理の手間が減るだけでなく、ミスが起こるリスクも軽減されます。

 

企業間取引をEC化することのデメリット

これまで、「企業間取引でEC化が進む理由」や「EC導入のメリット」について見てきましたが、少なからずデメリットも存在します。そのデメリットを理解せずに、メリットばかりに目を向けてしまうと、思わぬ失敗をしてしまう恐れがあります。続いては、特に気を付けるべきデメリットを3つ紹介します。

1. ECサイトの構築、維持管理コスト

当然ながら、ECサイトの構築、維持管理にはコストがかかります。維持管理については、サーバー代やドメイン費用、メルマガ配信料など、どれもそれほど高額ではありません。商品数が1, 000以上あるような大規模なECサイトになると、構築費が数百万円になる場合もありますが、一般的には数万円から数十万円程度で済みます。メンテナンス費も同様に、数万円から数十万円が相場です。

2. 多様な決済方法への対応

BtoCにおけるネットショップの決済方法は、「クレジットカード」、「代金引換」、「銀行やコンビニの前・後払い」、「電子マネー」、「ネット銀行」などがあります。一方で企業間取引の場合、商品は先に送り、支払いはまとめて翌月末、といった「掛け売り」も珍しくありません。そのため、ECサイトのカートシステムを選定するときに、「BtoB向けの決済方法」が用意されているかを確認しておかなければなりません。そうしないと、後になって追加料金が発生する場合もあります。

また、企業間取引では、取引先によって販売価格が異なるケースも多々あります。このようなケースにも対応できるカートシステムを選択しないと、企業間取引のEC化は難しくなります。

3. デジタルマーケティングの習得

BtoBでもEC化は珍しい存在ではなくなってきているため、「ECサイトを構築すればすぐに集客できる」という訳ではありません。ネット上で集客するためのマーケティング手法を習得しなければ、誰も訪問しないECサイトになってしまいます。SNSでの情報発信、有益なコンテンツの作成、メールマガジンを使ったコミュニケーションなど、覚えるべきことは多岐にわたります。

関連記事:デジタルマーケティングってなに?すぐに始められる手順を紹介

 

まとめ:BtoB EC成功のポイントは多様な決済方法が使えるカートの選択

EC化率30.2%と、いまや珍しくなくなっているBtoB EC。ECといえばBtoCといったイメージが強いかもしれませんが、市場規模で見ればBtoCは17兆9,845億円(2018年)で、BtoB EC市場のわずか20分の1に過ぎません。

私生活において何か欲しいものを探すときにインターネットで検索するのが当たり前になったように、ビジネスであってもその考え方は変わりません。多くの企業は、より質が高く価格の安い商品を、インターネットを使って探すようになっています。そういった意味ではBtoB企業がEC化を進めていくのは当然の結果と言えるでしょう。

ただし、EC化を進めるうえでいくつか注意しなければならない点もあります。なかでも重要なポイントは、企業間取引では「掛け売り」の対応が欠かせないことです。そのため、EC化を進める際は買い手の求める「決済方法」を備えているカート選択が重要になるでしょう。

参考:

平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課(PDF)
BtoB ECで得られるメリットとは?プロから見るEC導入に伴う課題・注意点と導入事例もご紹介|Aladdin EC
BtoB EC特集|ECのミカタ
企業間取引とは メリット・デメリットや流れ・ポイントを解説|企業法務弁護士ナビ
機能一覧(決済の設定)|Bカート

著者について
Bカート運営部
Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!

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