Excelでの受発注管理は簡単?作り方からメリット・デメリットまで広く解説

2025月9月10日
Excelでの受発注管理は簡単?作り方からメリット・デメリットまで広く解説

受発注業務は、企業の売上に直結する重要なプロセスですが、日々の作業に追われて効率化が後回しになっていませんか。「コストをかけずに、いますぐ業務を改善したい」とお考えの中小企業や個人事業主の方にとって、最も身近なツールであるExcelは非常に有効な選択肢です。

本記事では、Excelを活用した受発注管理の具体的な方法から、そのメリット・デメリット、さらに管理に限界を感じた際の次のステップまで、幅広く解説します。

受発注管理はExcelでもできる?

受発注管理は、専用のシステムを導入しなくても、多くの企業で利用されているExcelで可能です。とくに、事業を始めたばかりの時期や、取引件数がそれほど多くない場合には、Excelが持つ柔軟性と手軽さが大きな力となります。

多くの企業がExcelを選ぶ理由

多くの企業、とくに中小企業や個人事業主が受発注管理にExcelを選ぶ理由は、追加の導入コストがかからず多くの人が基本的な操作に慣れているからです。

新しいシステムを導入する際の時間的・金銭的コストや、従業員への教育コストを懸念する企業にとって、普段から使い慣れたExcelは最も導入のハードルが低い解決策と言えるでしょう。

導入方法 コスト 操作習熟度 カスタマイズ性
Excel 低い
(既に導入済みの場合が多い)
高い
(多くの人が利用経験あり)
高い
受発注システム 高い
(月額費用や初期費用が発生)
低い
(新たな操作学習が必要)
低い
(提供範囲内)

Excelで受発注管理を行うメリット

受発注管理メリット

Excelを使った受発注管理には、コスト面や操作性において大きなメリットがあります。
ここでは、具体的な3つのメリットについて解説します。

コストをかけずに始められる

最大のメリットは、低コストで始められる点です。多くの企業では、既にMicrosoft Officeが導入されており、その一部であるExcelを利用するために新たな費用は発生しません。

専用の受発注システムを導入する場合、初期費用や月額利用料がかかるのが一般的ですが、Excelであればコストをかけずに受発注管理の仕組みを構築できます。

操作に慣れているため導入しやすい

Excelは、多くのビジネスパーソンにとって日常的に使われているツールの一つです。そのため、基本的な入力や計算などの操作に慣れている従業員が多く、導入に特別な研修や教育を行う必要がほとんどありません。

これにより、教育コストを削減できるだけでなく、スムーズに新しい管理体制へ移行できます。

自社に合わせて自由にカスタマイズできる

Excelは汎用性が高く、自社の業務フローや管理したい項目に合わせて、自由に管理表をカスタマイズできる点も大きなメリットです。

たとえば、取引先ごとの管理項目を追加したり、商品ごとにシートを作成したりと、ビジネスの状況に応じて柔軟にフォーマットを変更できます。関数やマクロを活用すれば、定型的な作業を自動化することも可能です。

Excelで受発注管理を行うデメリット

手軽で便利なExcelですが、受発注管理に利用する際にはいくつかのデメリットもあります。
これらの課題をあらかじめ理解しておくことで、将来的な問題に備えることができます。

デメリット 具体的な問題点
属人化・共有の難しさ 特定の担当者しか修正できず、同時編集ができないため作業効率が下がる。
ヒューマンエラー 手入力による転記ミスや、数式を誤って削除してしまうミス。
リアルタイム性の欠如 最新情報の共有が遅れ、部署間の連携ミスにつながる。
処理速度の低下 データが蓄積されることでファイルの動作が重くなり、作業に支障をきたす。

属人化しやすく共有が難しい

関数やマクロを駆使して高度な管理表を作成した場合、その作成者でなければメンテナンスや修正が難しくなる「属人化」が起こりやすくなります。

また、ファイルをサーバーで共有しても、基本的には複数人が同時に編集することはできません。そのため、誰かがファイルを開いていると他の人は閲覧しかできず、作業の待ち時間が発生してしまいます。

入力ミスや数式エラーが起こりやすい

受発注管理では、注文内容を手作業でExcelに転記する作業が発生します。この手入力のプロセスでは、数量や金額の打ち間違いといったヒューマンエラーが起こるリスクが常に伴います。

また、意図せず数式が入力されているセルを編集してしまい、計算結果がズレてしまうといったトラブルも起こりがちです。

リアルタイムでの情報共有ができない

FExcelファイルは個々のPCやファイルサーバーに保存されるため、関係者全員が常に最新の情報をリアルタイムで共有することが困難です。

たとえば、営業担当者が外出先で受けた注文を反映するまでにタイムラグが生じ、その間にバックオフィス担当者が古い在庫情報をもとに納期回答をしてしまう、といった連携ミスがおこることもあります。

データ量が増えると動作が重くなる

受発注のデータが蓄積されていくと、Excelファイルの容量は増え続け、次第にファイルの起動やデータ処理の速度が低下します。データが数千行、数万行にもなると、ファイルを開くだけで数分かかったり、入力中にフリーズしたりすることもあり、業務効率が著しく低下する原因となります。

【関連記事】受発注システムの作り方を解説!エクセルと専用システム導入はどちらが良い?|Bカート

受発注管理を効率化するExcelの便利機能

基本的な管理表が作成できたら、次に関数を活用してさらに業務を効率化しましょう。
ここでは、とくに受発注管理で役立つ3つの便利な関数を紹介します。

VLOOKUP関数で商品情報を自動入力する

VLOOKUP関数は、指定した範囲から特定のデータに対応する値を取り出すことができる関数です。事前に商品コードと商品名、単価をまとめた「商品マスタ」シートを作成しておけば、受発注管理表で商品コードを入力するだけで、対応する商品名と単価が自動的に表示されるようになります。

これにより、入力の手間を大幅に削減でき、商品名の入力ミスも防げます。

IF関数で在庫状況やステータスを自動判定する

IF関数は、設定した条件が満たされているかどうかに応じて、表示する内容を自動で切り替えることができる関数です。

たとえば、「納期が入力されていれば『出荷済』、空欄なら『未出荷』と表示する」といった条件を設定できます。これにより、進捗状況が一目でわかるようになり、対応漏れの防止にもに役立ちます。

COUNTIF関数で特定の注文件数を集計する

COUNTIF関数は、指定した範囲の中から、特定の条件に一致するセルの数を数えることができる関数です。

たとえば、取引先ごとの注文件数や、「未出荷」ステータスの案件がいくつあるかを自動で集計できます。これにより、全体の業務量や緊急に対応すべき案件数を素早く把握することができます。

無料で使える受発注管理Excelテンプレート

一から自分で作成するのが難しい方や、時間がないという方のために、インターネット上には無料で利用できるExcelのテンプレートが数多く公開されています。これらを活用するのも賢い方法です。

シンプルな受発注管理表テンプレート

まずは基本的な項目だけがまとめられた、シンプルなテンプレートから試してみるのがおすすめです。実際に使ってみて、自社に不要な項目を削除したり、必要な項目を追加したりしてカスタマイズすることで、最適な管理表を作成できます。

在庫管理機能付きのテンプレート

受発注管理と同時に在庫管理も行いたい場合は、在庫管理機能が付いたテンプレートが便利です。受注データを入力すると、自動的に在庫数が変動する仕組みになっており、在庫の過不足をリアルタイムで把握できます。これにより、欠品による販売機会の損失や、過剰在庫のリスクを低減できます。

Excelでの管理に限界を感じたら考えるべきこと

ビジネスが成長し、取引量が増えてくると、Excelでの管理に限界を感じる時が来ます。

手入力の多さが原因の膨大な業務量や人為的ミス、ファイルの動作が重さ、同時編集ができない非効率性などの問題が顕著になったら、次のステップを検討するタイミングです。

Googleスプレッドシートへの移行を検討する

Excelの操作感はそのままに、デメリットの一部を解消できるのがGoogleスプレッドシートです。

最大の利点は、複数人で同時に編集でき、変更がリアルタイムに全ユーザーへ反映される点です。これにより、部署間の情報共有がスムーズになります。

受発注管理システムの導入を検討する

根本的な課題解決を目指すなら、専用の受発注管理システムの導入が最も効果的です。受注から請求、在庫管理までを一元管理し、多くの手作業を自動化できるため、ヒューマンエラーを劇的に削減できます。

最近では、中小企業向けに低コストで導入できるクラウド型のシステムも増えています。Excel管理のデメリットが事業の成長を妨げていると感じた場合は、システムの導入を本格的に検討しましょう。

【関連記事】受発注システムとは?簡単わかりやすく解説|Bカート

まとめ

管理表まとめ

Excelは、コストをかけずに受発注管理を始めるための強力なツールです。

本記事で紹介した作り方や便利な関数を活用すれば、日々の業務を大幅に効率化できるでしょう。しかし、事業の拡大に伴いExcel管理の限界が見えてきた場合は、Googleスプレッドシートや専用システムへの移行を視野に入れることが、さらなる成長の鍵となります。

当社のBカートは、BtoB取引に特化したクラウド型の受発注システムです。

手作業による入力ミスや管理の煩雑さを解消し、業務を大幅に効率化できます。
取引先ごとの価格設定といった、Excelでは難しい複雑な条件にも柔軟に対応します。
月額9,800円から、属人化した業務フローからの脱却を実現できます。

著者について
Bカート運営部
Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!