【BtoB-ECとは?】新時代の企業間取引を解説!

2021月10月1日
【BtoB-ECとは?】新時代の企業間取引を解説!

BtoC ECといえば楽天、Yahoo、Amazonなどがすぐに思い浮かぶけれども、BtoB ECと言われてもいまいちピンと来ないといった声をよく聞きます。本記事では、近年盛り上がりをみせているBtoB ECについて、これまでどのように発展してきたのか?これからどのように活用されていくのかにフォーカスしてお話します。

1.BtoBにおけるECとは

まずは、BtoB(Business to Business)におけるECについておさらい。
ご存じの通り、ECとは電子商取引(electronic commerce)を意味しています。
つまりBtoB-ECとは、企業間における電子商取引のことです。

では、BtoBにおけるECの取引形態にはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は、EDIとECサイトの2つに分けてご紹介します!

■ EDI(electronic data interchange)

EDIとは、電子データ交換のことを指します。主に大企業間での取引に用いられており、あらかじめ決められたルールやフォーマットに基づいて注文書や請求書のやり取りを行う取引形態です。EDI自体は、1990年代から急速に普及しましたが、その原型は1980年代まで遡ります。しかしEDIは、2024年に予定されているISDNのディジタル通信モード終了に伴い、インターネット回線を試用した流通BMSやWebEDIへの切替が必要となっているのが現状です。これは、EDIを利用する企業にとって重要な課題の1つとなっています。

■ ECサイト

EDIの普及から少し遅れる形で、1990年代後半にアスクル株式会社(旧プラス株式会社)や株式会社MonotaRO(旧住商グレンジャー株式会社)などにより、法人向けの製品をWebサイト上で販売するいわゆるBtoBのECサイトが登場し始めました。それまで閉鎖的であった企業間取引は、このようなサイトの存在により大きく変わり始め、現在に至るまでの間にBtoBのECサイトには様々な形態が誕生してきました。

2.静かに進化を続けるBtoB-ECサイト

Amazonや楽天など、BtoC(Business to Consumer)のECサイトの勃興の影に隠れてはいるものの、
BtoB-ECサイトの業界も着々と進化を重ね、多様化が進んでいます。
ここではECサイトの中でも代表的な形態を、時系列に沿って3つご紹介します。

■ ネット通販型(1990年代~)

このネット通販型という形態は前項で挙げた「アスクル」や「MonotaRO」などのサイトが代表的です。
BtoB-ECのファーストウェーブ(先駆者)とも言える存在であり、それまで閉鎖的であった企業間取引の常識を覆し、納期や価格をオープンにした状態での法人向け製品の通信販売を行うというビジネスモデルともいえます。

引用元:http://www.askul.co.jp/

■ マーケットプレイス型(2000年代~)

BtoB-ECのセカンドウェーブともいえるマーケットプレイス型は、ネット通販型とは異なり、複数の卸売業者の製品をWebサイト上で出品するという形態です。2000年代に登場したラクーン社の「スーパーデリバリー」や、オークファン社の子会社SynaBiz社が運営する「NETSEA」などが有名です。

また、ネット通販型と大きく異なるもう1つの点として、会員にのみ卸価格を公開するという従来の企業間取引の商慣習を取り入れている点です。これにより、インターネット上での企業間取引における障壁が格段に低くなったと言えます。

引用元:http://www.superdelivery.com/

■ 自社サイト型(2015年頃~)

多くの卸売業者のECサイト進出を可能にしたマーケットプレイス型は、新規顧客開拓の面で圧倒的な役割を果たす反面、同じサイト上に競合他社の製品が掲載されていることによる価格競争が原因となり、顧客が離脱してしまうというデメリットを抱えていました。

そこでBtoB-ECのサードウェーブとして2015年頃から登場し始めたのが、会員制の自社ECサイト。取引先ごとの販売商品や価格管理の機能はそのままに、自社の製品のみを販売するECサイトを運営する形態です。それまでのネット通販型やマーケットプレイス型との大きな違いは、ECサイトを自社の業務フローの中に組み込み、電話やFAXによる受注といった従来の業務をECサイト上で完結させることにより、大幅な業務効率化を図ることができます。さらに、それまで営業担当者を付けることのできなかった顧客への新たな接触機会にもなり得る強みがあるのも特徴です。

3.BtoB ECは成長市場

国内の市場規模は350兆円超

経済産業省の公表によると、広義のBtoB-EC市場規模は令和元年時点で353.0兆円、ECの普及率を示すEC化率は31.7%であると述べられています。市場規模に関しては前年比2.5%増、EC化率は前年比1.5ポイント増といずれも増加傾向にあります。
 新型コロナウイルスの影響により、令和2年度の市場規模は334兆円で前年比5.1%減と落ち込んだものの、EC化率は1.8ポイント増の33.5%となっているようです。
これらのデータからも、BtoBにおけるEC化はその規模の大きさからみても成長市場であることは間違い無いと言えるでしょう。

引用元:令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書

4.BtoB-ECとBtoC-ECの違い

ECとは言いつつも、元々は現実での相対取引が土台となっているため、当然BtoB特有の商習慣はECのおいても求められます。BtoCの商売と異なる点は数多くありますが、今回はその中でもBtoBのECサイトにおいて肝となる機能面の違いから、いくつか紹介いたします。

掛率管理

BtoBの業界では、取引先ごとに商談し売買する商品の価格設定を行います。その際、取引量や様々な取引条件の違いにより、同じ商品でも各取引先ごとに異なる価格で販売することになります。そのため、BtoBとしてのECサイトでは、取引先ごとにサイトに表示する販売価格を区別する必要があります。従来のECサイトでは、一物一価でしか管理できないという暗黙の了解がありましたが、BカートのようなBtoB専用のECサイト構築パッケージでは、BtoBの商習慣を前提としているため、一物多価での管理も可能となっています。

決済管理

現在のBtoC-ECサイトでの決済方法といえば、クレジットカード、コンビニ払いや代金引換などが一般的です。しかし、BtoBではそれらに加えて掛け売り銀行振込なども利用されています。ただし、掛け売りをするかどうかは、取引量の違いや与信状況などによって利用できる取引先を限定することがあります。そういった場合に、BtoB-ECサイトでは取引先ごとに利用可能な決済方法を設定しておく必要があります。

販路管理

従来のECサイトでは、掲載している商品は全てのユーザーが閲覧でき、購入できる仕組みになっています。(もちろん、事前に会員登録が必要な場合もありますよ。)BtoBでは、特定の取引先のために生産している商品や、大口の取引先にのみ販売している商品を持っている場合があります。

更に細かくしていくと、取り扱いを行うのに免許が必要な商品であったり、何らかのライセンスを保有している企業にはそのライセンスに見合った商品を販売する、OEM商品は対象の企業にしか販売しない等、様々な販路パターンが想定されます。

こういったケースをECサイトで実現するため、BtoB-ECサイトの構築パッケージでは、取引先によって異なる商品の掲載(販売)の設定が可能となっています。

5.BtoB-ECのメリットとデメリット

BtoB-ECを導入する際は、必ず既存の受発注フローや処理の方法を見直しを行います。

従来の電話で注文を受けて手動で伝票を作成し、それを関連する部署に回すような方法から、webを介して直接受発注システムにデータとして品目と数量が入力されることになるのです。当然、従来の業務フローとは大きく異なる部分もあるため、業務の見直し・再構築を行うのは必然であると言えるでしょう。

では、BtoB-EC導入の際のメリットと、同時に発生し得るデメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。

■ BtoB-ECのメリット

業務負担の軽減

FAXや電話で受発注を行う従来の業務フローの場合、在庫の問い合せ納期の回答、受注した商品と数量を手入力し、発注書の処理やその後の保管、請求業務など、数えきれないほどの工数が待ち受けています。

しかし、そこにECを導入することで、受発注業務の工数の大幅な削減が可能です。

商品の単位やスペック情報、在庫情報などは全てECサイト上で顧客側からも確認でき、受注情報も全て顧客側で入力していただく業務フローになるため、メールや電話での問い合わせへの対応の業務負担が大幅に軽減されます。また、受注情報などは全てデータ形式での保管となるため、過去の受注情報の照会なども容易となります。

ヒューマンエラー及びコストの削減

従来の業務フローの場合、電話で聞いた内容から伝票を起こす、数字や文字を目視で確認しながら手入力するなど、ほぼ全ての業務を人力で行う必要があることから、聞き間違いや誤入力などが多く発生しがちです。

そこにECを導入し、人の手によるアナログ形式な業務が減り、ECサイト上で受注内容の管理ができれば、誤発注や誤出荷を未然に防ぐことが可能となります。併せて、従来の業務フローで使用していた紙、コピーや押印作業、書類の保管などのコストも削減することが可能です。作業効率が大幅に上がる分、そのリソースを他の業務に振り分けることもできます。

リソース振り分けの例として、新規顧客の開拓はもちろん、既存商品の改良や新商品の開発など様々な業務に振り分けることができます。さらに、日々のリピート注文はECサイトで受注を行い、提案が必要なオーダーメイド商品などを営業マンがしっかり提案するなど、新しい業務のカタチを作り上げることも可能です。

新規顧客の獲得

これは、取引先以外でも閲覧可能なオープンサイトや、一部の情報以外は誰でもアクセス可能なセミクローズドサイトが対象となります。

従来の業務フローの場合、営業マンがカタログを持参して新規取引先の獲得に足を運んだり、電話でアポイントメントを取るなど、新規顧客の獲得に多くのリソースを割く必要がありました。しかし、自社で取り扱っている商品をECサイトを通じて全世界に公開することで、製品カタログをWeb上にそのまま掲載しているのと同等の効果があると言えます。

また、同時にWeb広告を導入することで、特定の商品や関連する情報を探している企業が、新規顧客となる可能性もあります。ECサイトを訪問し問合せをしてきた企業を見込み顧客とし、積極的に販促活動を行うことで、販路の拡大を見込むことができます。

 

■ BtoB-ECのデメリット

導入コストがかかる

当然のことながら、BtoB-ECサイトを立ち上げるにはシステムの導入費用が発生します。

実運用に乗せるまでには、社内の関係部署での調整はもちろん、社内全体での業務フローの見直しやこれまでの受発注業務フローに関与していた外部企業へのフォローなど、実現までにはそれなりのコストがかかってしまうのは事実です。

既存顧客へのフォローが必要

電話やFAX、メールなどの従来の方法で発注を行ってきた既存顧客は、新しいECサイト経由での発注に難色を示し、最悪の場合そのまま取引を中止してしまうなどことも考えられます。ECサイト経由での受発注システムにうまく乗り換えてもらうためにも、マニュアル作成デモサイトでの操作説明などを行い、これまで取引のあった多くの既存顧客へのフォローも欠かせません。

6.戦略として自社ECサイトを持つということ

既に、BtoB取引をECサイトで拡大させてく環境は整っています。

これまでのBtoBは、オフラインのチャネルのみで完結していたかもしれませんが、webを活用することにより、これまで休眠していた顧客だけではなく、開拓できなかった遠方顧客との新たな接点を見出すキッカケとなります。つまり、これまでの取引を加速させるだけではなく、新しい道を拓く手段となり得るということです。

BtoBのECサイトは今後さらに盛り上がりを見せていくとともに、企業の成長戦略の一つとして欠かせない重要な位置付けとなることは間違いないでしょう!

著者について
Bカート運営部
Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!

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