【2022年度版】BtoB-EC市場規模|EC化率は35.6%に成長@経済産業省
いまや多くの企業が当たり前のようにクラウドサービスを導入し、業務効率化やコスト削減を実現しています。そこで今回は、これからクラウド化を進めていこうと検討している企業にとって、どのようなメリットがあり、どういった業務に向いているのか、導入に際してのポイントについてお伝えします。
クラウド化の概要と企業が導入するクラウドサービスの種類
総務省が毎年発表している通信利用動向調査(令和元年版)によると、企業のクラウドサービス利用状況は64.7%となり、初めて6割を超えました。クラウドサービスを利用する理由としては、「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」、「場所、機器を選ばずに利用できるから」といった意見が上位になっています。また、クラウドサービスの利用について、「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と回答した企業は85.5%にも及び、多くの企業がクラウドサービスの効果を実感しているようです。
従来、業務で活用する資料やデータなどは、社内サーバーにソフトウェアを構築し、そのなかで管理・運用するのが一般的でした。クラウド化とは、これらのサーバー、ソフトウェアをクラウド環境に移行することを指します。
では、企業はどういった業務でクラウドサービスを活用しているのでしょう。前述した調査において、クラウドサービス利用の用途で多かった回答は次のとおりです。
- ファイル保管・データ共有(56.0%)
- 電子メール(48.0%)
- 社内情報共有・ポータル(43.0%)
- スケジュール共有(37.3%)
- 給与、財務会計、人事(35.7%)
この結果から、社員間での情報共有やコミュニケーションに関するものの多くはクラウドサービスを活用していることがわかります。これらのサービスのクラウド化はオフィス以外での業務も可能にするため、今後、リモートワークを導入する企業が増えれば、この傾向はさらに顕著になっていくと予測できます。
企業がクラウド化を進めることのメリット
次に、クラウド化を進めることで企業にどういったメリットが生まれるのかについて見ていきます。
リモートワークを実現でき、柔軟な働き方が可能になる
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業がしっかりとした事前準備をできないまま、リモートワークを導入しました。その結果、業務にいくつかの問題が生じました。その大きな理由は、業務で活用するシステムやツールがクラウド化されていなかったことにあります。クラウド化が進んでいれば、これらの問題は解消され、オフィス以外でもオフィスにいる時と同様の業務が可能になります。つまり、柔軟な働き方が実現することになります。
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人的コストの削減
オフィス内でサーバーやソフトウェアを管理・運用する場合は、当然ながら、そのための管理者を常駐させる必要があります。クラウド化を行えば、管理者を配置する必要がなくなり、その分の人的コストを削減できます。サーバー管理者が他の業務を兼任していた場合も、本来の業務に集中できるようになり、生産性の向上を期待できます。
BCP(事業継続計画)対策
新型コロナウイルスのような感染症をはじめ、大地震、台風、テロ攻撃といった緊急事態が起きた際に、すべてのデータ、システムが社内にあるとデータ紛失や業務遂行の停止といったリスクが増大します。クラウド化はそうしたリスクを軽減し、事業の早期復旧を可能にします。
コスト削減
利用するサービスにもよりますが、クラウドサービスの多くは従量課金制となるのが基本です。このため、使う量に応じて支払う金額を調整でき、無駄なコストがかかりません。
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堅牢なセキュリティ
クラウドサービスを提供している企業は、一般企業に比べて、最新の技術や設備などセキュリティ対策に多くのコストをかけています。そのため、自社内で管理するよりも、クラウドサービスを活用したほうが堅牢なセキュリティを保つことができます。
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企業がクラウド化を進める際のポイント
セキュリティの不安が軽減し、多くのメリットを享受できるようになったクラウド化ですが、導入に際して注意すべき点もあります。ここでは、そのなかでも特に重要なポイントを紹介します。
セキュリティ教育の徹底
クラウドサービスを提供する企業がどれだけ堅牢なセキュリティを実現していたとしても、それを利用する側にセキュリティ意識がなければ意味がありません。そのため、クラウドサービス導入時はもちろん、定期的に社員に対してセキュリティ教育を行い、常にセキュリティ意識を持って業務を行えるようにする必要があります。
オンプレミスとクラウドの使い分け
クラウド化にはさまざまなメリットがありますが、業務によってはオンプレミスのままのほうが効率の良い場合もあります。そのため、クラウド化を進める前に必ず現場の意見も聞き、「何をクラウド化し、何を現状のままにするか?」をしっかりと検討しなくてはなりません。
クラウド導入目的の明確化
「どのシステム、ソフトウェアをクラウド化するか?」を決める際のポイントは、「クラウド化によって何を実現したいのか」、その目的を明確にすることです。例えば、リモートワークが目的であれば、クラウドストレージやメールを必ずクラウド化しておく必要があります。本社と支社での販売状況を一括で管理するのであれば、販売管理システムのクラウド化が必要です。「他の企業がクラウド化しているから……」といった判断ではなく、「自社にとって必要なクラウド化は何か」を検討すれば、おのずとクラウド化するシステムが見えてきます。
まとめ:用途に応じたクラウドサービスの選択が重要
2018年6月、政府は「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」のなかで、「クラウド・バイ・デフォルト原則」という方針を打ち出しました。これは、政府が新たなシステムを導入する際に、クラウドの活用を第一に検討するというものです。これを受け、多くの企業でもクラウドサービスの活用がこれまで以上に活発になりつつあります。
ただし、クラウドサービスはすべてにおいて万能な訳ではありません。明確な利用目的、自社に合ったサービスを選択しないと、無用の長物になってしまい、オンプレミスよりもコスト高になってしまう可能性もあります。
クラウド化には多くのメリットがありますが、使い方を誤ってしまうと、それがデメリットにもなりかねません。クラウド化を効果的に進めるには、「目的の明確化」や「用途に合ったサービスの選択」はもちろん、状況によってはオンプレミスと使い分けることも、あわせて検討するようにしましょう。
参考:
令和元年通信利用動向調査の結果|総務省(PDF)
企業システムのクラウド化の現状と4つのメリット|ビジネス継続とITについて考える
失敗しない、クラウド導入時のポイントとは?|KDDI