Web-EDIとは?従来のEDIとの違いやメリット・デメリットを解説

2025月12月2日
Web-EDIとは?従来のEDIとの違いやメリット・デメリットを解説

「取引先からの注文を電話やFAXで受けているが、入力ミスや確認作業が多くて大変」「もっと効率的に受発注業務を進めたい」と感じていませんか?その課題、「Web-EDI」の導入で解決できるかもしれません。 Web-EDIは、インターネットを使って企業間の取引データをやり取りする仕組みです。本記事では、Web-EDIの基本的な知識から従来のEDIとの違い、導入のメリット・デメリット、そして自社に合ったシステムの選び方まで、わかりやすく解説します。

Web-EDIとは?従来のEDIとの違いを解説

Web-EDIは、企業間取引における受発注などのデータを電子的に交換する「EDI(Electronic Data Interchange)」の一種です。まずはWeb-EDIの基本的な仕組みと、これまで主流だった従来のEDI(レガシーEDI)との違いについて理解していきましょう。

「Web-EDI」とはインターネットで利用するEDI

Web-EDIとは、その名の通り、Webブラウザとインターネット回線を利用してEDIを実現する仕組みです。専用ソフトウェアのインストールが不要で、普段使っているパソコンのブラウザからIDとパスワードでログインし、Web上のフォームに必要な情報を入力・送信するだけで、取引先と受発注データなどを交換することができます。

手軽に始められることから、これまでEDIの導入が難しかった中小企業でも利用しやすく、EDI普及の後押しにもつながっています。

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従来のEDI(レガシーEDI)との違いは?

Web-EDIが登場する以前に利用されていたEDIは、一般的に「レガシーEDI」と呼ばれます。両者の最も大きな違いは、利用する回線と導入コストにあります。

比較項目 Web-EDI

従来のEDI(レガシーEDI)

利用回線

インターネット回線

  • 電話回線
  • ISDN回線
  • VANなど
導入コスト

比較的安価

高価になりやすい

導入期間

短期間で導入可能

比較的長い期間が必要

利用環境

PCとブラウザがあればOK

専用ソフトや機器が必要

取引先の導入障壁

低い

高い

レガシーEDIは、電話回線やISDN回線といった専用線を使ってデータを交換していました。安全性は高いものの、専用の機器やソフトウェアが必要となるため、導入・運用コストが高くなるという課題がありました。一方、Web-EDIは汎用的なインターネット回線を利用するため、低コストかつスピーディに導入できるのが大きな特徴です。

Web-EDIの主な3つの仕組み

Web-EDIは、データの交換方法によって大きく3つの方式に分類されます。それぞれの仕組みを理解し、自社の業務や取引先に合った方式を選びましょう。

Webブラウザで直接入力する「ブラウザ入力型」

最も手軽に利用できるタイプのWeb-EDIです。提供されるWebシステムの画面(ブラウザ)に、注文情報などを直接手で入力してデータを送信します。受信したデータもブラウザ上で確認できるため、特別なシステムの知識は必要ありません。メールを送るような感覚で利用できるため、EDIの利用経験がない企業や、取引量がそれほど多くない場合に適しています。

CSVファイルを送受信する「ファイルアップロード型」

自社の販売管理システムなどから出力したCSV形式の注文データを、Web-EDIのシステムにアップロードして送信する方式です。1件ずつ手入力する必要がないため、取引データが多い場合に業務を効率化することができます。受信したデータもCSVファイルでダウンロードし、自社システムに取り込むことが可能です。

システム間で自動連携する「API連携型」

API(Application Programming Interface)を利用して、自社の基幹システムと取引先のシステムを直接連携させる方式です。データの送受信が自動で行われるため、手入力やファイルアップロードの手間が一切かからず、最も効率的な運用が可能になります。ただし、導入にはシステム開発が必要となるため、コストや専門知識が求められる点には留意しておきましょう。

Web-EDIを導入する4つのメリット

Web-EDIを導入することで、企業はさまざまなメリットを得られます。ここでは、代表的な4つのメリットについて解説します。

メリット1:低コストかつ短期間で導入できる

Web-EDIの最大のメリットは、導入のハードルの低さにあります。従来のレガシーEDIのように高価な専用機器やソフトウェアは不要で、多くはクラウドサービスとして提供されているため、初期費用を抑えながら短期間で利用を開始することができます。月額数万円程度から利用できるサービスも多く、コストを理由にEDI化を諦めていた企業でも導入しやすくなっています。

メリット2:インターネット環境があれば場所を選ばない

Web-EDIは、パソコンとインターネットに接続できる環境さえあれば、オフィスはもちろん、テレワーク中の自宅や出張先など、どこからでも利用できます。これにより、場所に縛られない柔軟な働き方が可能になり、事業継続計画(BCP)の観点からも有効です。

メリット3:取引先が導入しやすい

Web-EDIは、発注側だけでなく受注側の取引先にとっても導入しやすい仕組みです。取引先も同様にWebブラウザとインターネット環境があれば利用できるため、新たな設備投資や専門知識が必要ありません。そのため、多くの取引先を巻き込んだEDI化を進めやすくなります。

メリット4:業務効率化とペーパーレス化が実現する

電話やFAXでの注文をWeb-EDIに切り替えることで、聞き間違いや見間違いといった人為的ミスを防ぎ、注文データを自社システムへ手入力する手間を大幅に削減することが可能です。これにより、受発注業務全体のスピードアップと効率化が期待できます。また、紙の注文書や請求書が不要になるため、ペーパーレス化が促進され、印刷コストや保管スペースの削減にも繋がります。

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Web-EDIを導入する際のデメリットと注意

多くのメリットがあるWeb-EDIですが、導入前にはデメリットや注意点も理解しておく必要があります。

デメリット1:取引先ごとに操作方法が異なる場合がある

Web-EDIは、発注元(ハブ企業)が導入したシステムを、受注側(スポーク企業)が利用する形態が一般的です。そのため、複数の取引先がそれぞれ異なるWeb-EDIを導入している場合、取引先ごとに異なるシステムの操作方法を覚えなければならず、かえって業務が煩雑になる可能性があります。

デメリット2:大量のデータ処理には向かないケースもある

ブラウザ入力型のWeb-EDIの場合、1件ずつ手入力でデータを登録するため、毎日大量の取引データを処理する必要がある企業には向いていません。このような場合は、CSVファイルを一括で取り込めるファイルアップロード型や、自動で連携できるAPI連携型を検討する必要があります。

デメリット3:リアルタイムでの自動連携が難しい場合がある

Web-EDIは、人がシステムを操作して初めてデータが送受信されるため、レガシーEDIやAPI連携型のように、システム間でリアルタイムにデータが完全自動連携するわけではありません。データの送受信のタイミングによっては、在庫情報などにタイムラグが生じる可能性がある点に注意が必要です。

Web-EDIに関するよくあるご質問(FAQ)

ここまでWeb-EDIの仕組みやメリットについて解説してきましたが、実際の導入を考えると、さらに細かい疑問点が出てくることでしょう。ここでは、担当者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめましたので、導入前の不安や疑問の解消にお役立てください。

Q1. 中小企業でもWeb-EDIを導入する価値はありますか?

はい、中小企業にとっても導入する価値があります。従来のEDIは高価で大企業向けでしたが、Web-EDIはインターネットを利用するため、低コストかつ短期間で導入できます。手作業によるミスを削減し、限られた人員でも効率的に受発注業務を回せるようになるため、生産性向上に直結します。

Q2. インターネット経由だとセキュリティが心配です。大丈夫でしょうか?

インターネット経由の利用に不安を感じる方もいらっしゃいますが、現在のWeb-EDIサービスはセキュリティ対策が徹底されています。通信はSSL/TLSによって暗号化され、ID・パスワードによるアクセス制限も設定されています。オンラインバンキングと同じように、安全な環境で取引データをやり取りできる仕組みが確立されていますのでご安心ください。

Q3. Web-EDIとBtoB ECシステムはどう違うのですか?

Web-EDIは企業間の定型的な取引を「自動化・業務効率化」することが主な目的である一方、BtoB ECは企業間の取引を「自動化・業務効率化」することに加え、注文する商材・数量の情報だけでなく、「決済面までカバーできる」のが特徴です。

Q4. なぜいま、従来型のEDIからWeb-EDIへの乗り換えが進んでいるのですか?

現在、EDIで広く利用されてきた「ISDN回線(INSネット)」が、IP網への移行に伴い順次終了(廃止)されているためです。これは国の方針として進められているもので、従来型EDI(全銀手順・JCA手順など)がそのままでは使えなくなるケースが増えています。そのため、専用回線が不要で今後の通信環境にも柔軟に対応できるWeb-EDIやクラウド型EDIへの移行が、多くの企業で進んでいます。

まとめ

Web-EDIは、インターネットを利用して低コストかつ手軽に始められる受発注の電子化ツールです。導入することで、業務効率化・コスト削減・人為的ミスの防止など、多くのメリットが期待できます。この記事で解説したメリット・デメリットや選び方のポイントを参考に、自社の課題解決に繋がる最適なWeb-EDIの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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著者について
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Bカート運営部 Bcart Operations Department

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