企業間取引とは?BtoCとの違いから取引の流れ・注意点までを解説

2025月12月2日
企業間取引とは?BtoCとの違いから取引の流れ・注意点までを解説

企業間取引とは、企業同士が商品やサービスを売買することです。この記事では、BtoC取引との違いや企業間取引の具体的な流れや決済方法、、取引を行う上での注意点までを初心者向けにわかりやすく解説します。

企業間取引は、私たちの経済活動を支える重要な仕組みですが、一般消費者向けの取引とは多くの点で異なります。これからビジネスの世界で活躍する方にとって、その仕組みを理解しておくことは非常に重要です。

この記事では、企業間取引の基本から具体的な流れ成功のポイントまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

企業間取引とは?

企業間取引とは、その名の通り「企業」と「企業」の間で行われる商取引全般を指します。英語の「Business to Business」を略して「BtoB取引」、または「B2B取引」と表すこともあります。

例えば、自動車メーカーが町工場からネジを仕入れたり、オフィスで使うパソコンをメーカーから購入したりするケースがこれに該当します。直接私たちの目に触れる機会は少ないですが、経済の根幹を支える非常に規模の大きな市場です。

BtoC取引との基本的な違い

企業間取引(BtoB)と対比されるのが、企業が一般消費者に対して商品やサービスを販売する「BtoC(Business to Consumer)」取引です。スーパーマーケットでの買い物や、オンラインストアでの衣類の購入などがBtoCにあたります。

BtoBとBtoCの最も大きな違いは、購入の目的と意思決定のプロセスにあります。

比較項目 企業間取引(BtoB) 消費者向け取引(BtoC)
顧客 法人(企業・組織) 個人(一般消費者)
購入目的 事業活動のため
(生産、販売、コスト削減など)
個人的な利用・消費のため
意思決定 複数の部署や担当者が関与し、合理的・論理的に判断 個人または家族や友人が、感情や好みで判断することが多い
取引金額 高額になる傾向 少額から高額までさまざま
関係性 長期的・継続的な関係を重視 短期的・一回限りの関係が多い

企業間取引が持つ特有の性質について

企業間取引は、BtoCと比べて専門性が高く、取引内容が複雑になる傾向があります。製品の仕様や納期、支払い条件など、双方の合意が必要な項目が多岐にわたるため、最終的な契約に至るまでに時間がかかるのです。

また、一度取引が始まると、その関係は長期にわたることが多く、お互いの信頼関係がビジネスの基盤として非常に重要になります。

企業間取引の一般的な流れ

企業間取引の流れ_書類を処理する手元

企業間取引は、実際にどのような手順で進められるのでしょうか。
ここでは、一般的な取引の流れを5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:問い合わせと与信審査

買い手側企業が売り手側企業の製品やサービスに関心を持つと、Webサイトや紹介を通じて問い合わせを行います。売り手側企業からの営業活動がキッカケになることもあるでしょう。

その後、売り手側は本格的な商談に入る前に「与信審査」を行うのが一般的です。相手企業に支払い能力があるか、信頼できる相手かを確認する重要なプロセスで、企業の財務状況過去の取引実績などを調査します。

ステップ2:商談と見積もりの提示

与信審査を通過すると、具体的な商談に進みます。買い手側のニーズや課題をヒアリングし、最適な製品やサービスを提案します。価格、数量、納期などの条件を詰めた後、売り手側は正式な「見積書」を提出します。買い手側は、この見積書を基に社内で検討を行うのです。

ステップ3:契約締結と発注

双方の条件が合意に至れば、契約を締結します。契約書には、取引内容、金額、納期、支払い条件、秘密保持義務など、重要な項目が記載されるため、法務部門などを交えて慎重に内容を確認する必要があります。

契約締結後、買い手側は正式な「発注書」を発行し、これをもって取引が確定します。

ステップ4:納品と検収

売り手側は、契約内容に基づいて商品やサービスを納品します。この際、商品と共に「納品書」を送付するのが一般的です。買い手側は、納品された製品・サービスが発注した通りの内容か、品質に問題はないかなどを確認する「検収」を行います。検収が無事に完了すると、買い手側は「検収書」を発行し、売り手側に送付します。

ステップ5:請求と支払い

売り手側は、検収書を受け取った後、買い手側に「請求書」を送付します。請求書には、請求金額や支払期日、振込先口座などが明記されています。買い手側は、請求書に記載された期日までに、指定された方法で代金を支払います。この支払いをもって、一連の取引が完了します。

企業間取引で利用される決済方法

BtoC取引では現金払いやクレジットカード決済が主流ですが、BtoB取引では異なる決済方法が用いられるのが一般的です。

主な決済方法 概要 特徴
請求書払い(掛け売り) 商品の納品後に請求書を発行し、定められた期日までに代金を支払ってもらう方法 企業間取引で最も一般的な決済手段であり、信頼関係に基づいて行われる後払い方式
口座振替 買い手企業の銀行口座から、毎月自動的に代金を引き落とす方法 毎月定額の支払が発生する継続的な取引(例:システムの月額利用料など)で利用される
法人向けクレジットカード決済 企業向けに発行されたクレジットカードで決済する方法 迅速な決済が可能で、少額取引やECサイトでの取引で利用が増えている

請求書払い(掛け売り)

請求書払いは、企業間の信頼関係を前提とした後払い方式で、「掛け売り」とも呼ばれます。一般的には「月末締め、翌月末払い」のように、1ヶ月分の取引をまとめて翌月に支払うというサイクルで行われます。売り手側には代金未回収のリスクがありますが、買い手側にとっては資金繰りに余裕が生まれるというメリットがあります。

口座振替

毎月定額の支払いが発生するサブスクリプションサービスやリース契約などでよく利用される方法です。買い手側は支払いの手間が省け、払い忘れを防ぐことができます。売り手側にとっても、毎月安定した代金回収が見込めるというメリットがあります。

法人向けクレジットカード決済

近年では、BtoB ECサイトの普及などに伴い、法人向けクレジットカード決済の利用も増えています。とくに、比較的少額の備品購入や、急ぎで必要なサービスの支払いに適しています。現金管理の手間が省け、経費精算がスムーズになるというメリットがあります。

【関連記事】【2024年最新】おすすめのBtoB ECプラットフォーム13選を徹底比較! | Bカート ブログ

近年加速する企業間取引のデジタル化における影響

企業間取引のデジタル化

従来は電話やFAX、対面でのやり取りが中心だった企業間取引ですが、近年は急速にデジタル化が進んでいます。業務効率の向上コスト削減を実現するため、多くの企業が新しい技術を導入しているのです。

BtoB ECサイトの普及

BtoB専用のECサイト(ネット通販サイト)を利用する企業が増加しています。

買い手は24時間いつでも好きなタイミングで発注でき、在庫確認や過去の購入履歴の参照も容易です。売り手にとっても、電話やFAXでの受注対応業務が削減され、営業担当者がより付加価値の高い業務に集中できるというメリットがあります。

【関連記事】自社ECサイトとは?ECモールとの違いやメリット・デメリットを徹底解説 | Bカート ブログ

EDI(電子データ交換)について

EDIは「Electronic Data Interchange」の略で、日本語では「電子データ交換」と訳されます。専用回線やインターネットを通じて、企業間で受発注書や請求書などの取引情報を電子データでやり取りする仕組みです。

人の手を介さずにシステム間で直接データを交換するため、入力ミスなどのヒューマンエラーを防ぎ、取引のスピードと正確性を大幅に向上させられます。

デジタル化による業務効率の向上

BtoB ECやEDIといったデジタルツールを導入することで、これまで手作業で行っていた受発注処理や請求書発行、伝票入力といった定型業務を自動化できます。

これにより、従業員は単純作業から解放され、顧客との関係構築や新たな戦略立案といった、より創造的な業務に時間を使えるようになります。

【関連記事】受注業務の自動化を実現する方法とは?メリットと注意点を徹底解説 | Bカート ブログ

企業間取引を成功させるためのポイント

最後に、企業間取引を円滑に進め、成功に導くための重要なポイントを2つ紹介します。

契約書の重要性を理解する

企業間取引では、口約束だけでなく、必ず書面で契約を交わすことが鉄則です。

契約書は、取引内容を明確にし、万が一トラブルが発生した際に自社を守るための重要な証拠となります。内容を十分に理解しないまま安易に署名・捺印することは避け、必要であれば法務部門や弁護士などの専門家に相談しましょう。

【関連記事】口頭発注のトラブルを防ぐには?法的な有効性と対策を分かりやすく解説|Bカートブログ

信頼関係の構築を意識する

企業間取引は、一度きりの関係で終わることは少なく、長期的なパートナーシップに発展することがほとんどです。そのため、目先の利益だけを追うのではなく、常に誠実な対応を心がけ、相手との信頼関係を地道に築いていく姿勢が何よりも重要になります。

良好な関係は、新たなビジネスチャンスを生み出す土壌にもなるのです。

企業間取引に関するよくあるご質問(FAQ)

企業間取引について抱きやすい疑問について、Q&A形式でさらに詳しく解説します。

Q1. なぜ企業同士の取引は、お店で買い物するようにその場で支払いを済ませないのですか?

A. 企業間取引は、取引金額が大きくなることや、継続的な取引になるケースが多いためです。
そのため、毎回現金でやり取りするのではなく、「月末締めで翌月末払い」といった形でまとめて決済する「掛け売り(請求書払い)」が一般的です。これは、お互いの信頼関係に基づいて成り立っている商習慣です。

Q2. 最近は企業間取引もインターネットで行われることが多いのですか?

A. はい、DXの重要性が広く認識されるようになったことで、インターネット上で取引を行う企業が増えています。 
この記事でも触れた「BtoB ECサイト」や「EDI」といったデジタルツールを活用する企業が急速に増えています。インターネット経由で注文することで、電話やFAXで起こりがちな「聞き間違い」や「入力ミス」を防ぎ、24時間いつでも取引ができるため、業務が大幅に効率化されます。

まとめ

企業間取引まとめ_OKサインをする男性

本記事では、企業間取引(BtoB)の基本的な概念から、BtoCとの違い、取引の具体的な流れ、そして成功のためのポイントまでを解説しました。

企業間取引は、購入の意思決定プロセスが複雑で、長期的な視点が求められるなど、消費者向け取引とは異なる特徴を持っています。この基本を理解することが、ビジネスパーソンとしての第一歩となるでしょう。

企業間取引の効率化をお考えなら「Bカート」がおすすめです。

BtoB特有の複雑な商習慣や取引条件に完全対応し、従来のFAX・電話受注で発生してしまう人為的ミスを根本から解決できます。担当者依存の属人化問題も、取引価格や条件をシステムで一元管理することで解消いたします。

既存の基幹システムと連携し、受発注から在庫管理までの業務全体を自動化することも可能です。2,000社以上の企業が導入し、企業間取引の最適化を実現しています。

著者について
Bカート運営部
Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!