【2022年度版】BtoB-EC市場規模|EC化率は35.6%に成長@経済産業省
イーコマースフェア2018東京にて、昨年に引き続き「BtoBのECサイトで描く営業戦略と業務効率化」と題したセミナー特別講演を実施致しました。 BtoBのECサイトを実際に導入されている2社にご協力いただき、BtoBのECサイトを活用するにあたって苦労したことや導入後の成果などをお話しいただきました。本稿ではその様子を少しだけご紹介します。
2月13日・14日に開催された、国内最大級の EC ソリューション専門展 イーコマースフェア2018東京 にて、「BtoBのECサイトで描く営業戦略と業務効率化」と題したセミナー特別公演を実施。
今回は、業務用厨房機器・調理道具の通販サイトを手掛ける「テンポスドットコム」より、WEB事業部 営業統括マネージャー 品川 絵美 様と、BMXをはじめとする自転車や周辺機器の販売を手掛ける「ジック・ジャパン」より、スポーツ部門 セールス&マーケティング 吉田 幸生 様をパネラーに迎え、弊社執行役員兼営業統括マネージャーの鵜飼 智史がファシリテーターを務めました。
昨年のイーコマースEXPO 2017年 パネルディスカッションの様子はこちらから
約200名規模のセミナー会場
複数のセミナーが並行して開催されている中、当該セミナーの前には入場待ちの長蛇の列が。
イーコマースフェアなだけあり、BtoB-ECに高い関心を持ってらっしゃる方が多い印象でした。
開場と同時に、用意された約200席ほどの観客席はほぼ満席に。
それだけEC化への興味・関心は高まってきているのだと感じました。
BtoB-ECの市場規模と普及率
BtoB-ECの市場規模や普及率がどこまで高まっているのか?
実際の数字を目にすることは少ないですよね。
昨年に引き続き、今回のセミナーでも、冒頭にこんな質問をしてみました↓
昨年の正答率はほぼ0%でしたが、今年の正答率は約30%に。
BtoB-ECに関しての情報がメディアによく出るようになってきたことで、実際の数字を目にする機会が増えてきたことが今年の正答率アップに繋がっているようです。
『BtoB-ECとはなにか?』など、まず認知を第一に行ってきた昨年から比較すると、
『BtoB-ECを始めるには?』といった、顕在化したニーズに変動してきたことが伺い知れます。
他にも、BtoB-ECが注目される背景にはいったい何があるのか?など、
様々な要因を踏まえて説明していきました。
スライド要約
・流通構造の変化
・労働人口の減少
・労働生産性の低さ を踏まえ、ECサイトを活用することによってどうなるか? など
ディスカッションで迫る、ECサイト運営の心得
BtoB-ECサイトを立ち上げるメリットも、なぜ立ち上げたほうが良いのかも分かっているが、
実際に立ち上げるのはまた別…なんて、先延ばしにしてしまう方も多くいらっしゃるように感じます。
「やっぱり大変なんでしょ?」「専門知識も必要になるよね」「やったことないし…」
こちらのディスカッションでは、実際にECサイトをイチから立ち上げられた、
テンポスドットコムの品川様と、ジック・ジャパンの吉田様に、本音で語って頂きました。
お二人が立ち上げに至った理由から、それぞれの苦労を紐解いていきましょう。
まずはテンポスドットコムの品川様から。
品川様のECサイト立ち上げに至った理由、それは「事業の可能性を広げるため」。
「実店舗のない地域のお客様との接点の獲得や、最寄り以外の店舗からの購入など、
EC化したからこそ出来る様々な発見があった」
こうしたサイトの立ち上げによる可能性の拡充はもちろん、在庫の確認もEC化したことによって、
わざわざ店舗に出向いて確認する必要がなくなったとにより、業務も大幅に効率化したと言います。
スライド要約 「ECで事業の可能性を広げる」
・店舗がない地域のお客様との接点
・最寄り以外の店舗から購入可能
・店舗に行かなくても在庫確認ができる
時間や場所に縛られないECサイトだからこそ、の可能性ですね。
続いて、ジック・ジャパンの吉田様から。
吉田様の場合は、当初からEC化を想定していたわけではなく、
あらゆる手段を追求していった結果、ECサイトの立ち上げに至ったそうです。
「問い合わせ対応、在庫確認、カタログ制作、煩雑な受発注業務に新商品のご案内と、
解決したい課題ははたくさんあって、それをどうすれば解決できるのか。
様々な要因の解消方法を追求した結果たどり着いたのがEC化することだった」と語ります。
スライド要約 「あらゆる手段を追求した結果BtoBのECサイトにたどり着いた」
・アナログな受発注対応
・問い合わせ対応 を一気に解消できるツール!
導入・運営していくにあたって苦労したこと
さて、こうしてEC化に踏み切ったお二人ですが、実際に「やる」となるとまた別ですよね。
続いては導入・運営していくにあたって苦労したことについてお伺いしました。
まずは品川様。一番苦労したのは、「ネット販売(EC)への理解」とのこと。
品川様は、BtoCもBtoBもECの経験があり、リアルの店頭販売のご経験もあります。
テンポスドットコムに入社された5年前には、多くの方に「顔が見えない状態で物なんか売れるか」
といった店頭販売のプライドのようなものがあったと言います。
幸い品川様には店頭販売とECと両方の経験があるので、
「気持ちを理解しつつ一緒に成長していくように努めた」と語ります。
「分かりやすいところとしては、
ECでは店頭に並んでいる商品を販売している側面もあるので、商品情報を提供してもらう必要がある。
当初は、店頭販売のプライドもあり、売れ残りのような商品ばかりが集まってくるような状態でした。」
こうした中、コツコツと信頼関係を築き上げた品川様。
しばらくすると、『ECに協力した方が得だ』という認識が広がっていき、徐々に商品が集まり始めます。
テンポスドットコムのサイトには、常に約20万点の厨房機器が掲載されています。
広告も予算を投下して集客しているため、厨房関係のキーワードで検索をかけると、
かなりの確率でテンポスドットコムのサイトにたどり着きます。
そんなサイトがあるなら、もちろん載せたほうが良い、と思うようになりますよね。
社内的には無料で商品を掲載できる広告媒体のようにとらえてもらっているようで、
今では社内からの掲載依頼が絶えない程になったとのことです。
スライド要約 「ネット販売への理解」
・社内外を問わず、信頼関係を構築すること
・広告媒体としてうまく活用していくこと
では、もともとEC化を見据えていたわけではなかった、という吉田様はどうなのでしょうか?
EC経験のない吉田様。一番苦労したのは「サイト自体の立ち上げ」だとお話し頂きました。
「写真加工やカタログのデータは持っているんですが、そのままECサイトにアップするかたちでは、
販売店様にとって優しくないので、写真加工やテキスト作成をしたりしました。
中には終売している商品もあり、商品マスターが存在しないので1から作成、なんて事もありました。」
このような作業を、通常業務をこなしながら行われたとのこと。
「利便性を高める、といいますか、やるしかないんですよね。」と笑顔でお話しになった吉田様。
また、サイトを立ち上げるだけでなく、しっかりとその後のケアも行われたとのこと。
うまくご利用いただけてない販売店様にはご連絡をとって使い方をご説明したり、
ときには直接ご訪問して説明することも行ったという。
こうした徹底的な対応でしっかりと運用が安定するところまで推進してきたジック・ジャパン。
このような「やりきる」対応が、大幅な飛躍につながっていると強く感じます。
スライド要約 「軌道に乗せるまでのタスク」
・お客様向けに商品写真などを編集、加工
・商品マスタのない終売商品の作成 などタスクがいっぱい!
EC化に成功したあとの・・・
様々な問題を抱えながらも、見事EC化に成功した現在。
実際のEC化率は果たしてどの程度なのか?反響や効果は?みなさんも気になりますよね。
なんと、テンポスドットコムさんのEC化率は驚異のほぼ100%!
嬉しい誤算もあったようで、
ECサイトで商品を閲覧したお客様が、実際に店頭へ来てご購入いただけるのだとか。
テンポスドットコムのECサイトでは、商品詳細ページをずっと下まで下がっていってもらうと、
いま閲覧している商品はどこの店舗にあるのかわかるようになっています。
また、店舗の電話番号も記載しており、直接店舗に問い合わせが入る、という仕掛けが完成しています。
反響についてももちろん、大幅な売上アップが!
2015年にECサイトのリニューアルオープンを行ってからは連続で右肩上がりの売り上げ。
「やはりサイトを乗り換えたりすると、いままで積み重ねた商品ページなどがリセットされたりする。
こういったBtoBのECサイトを始められるなら、早い段階でURLを育てるような感覚で取り組まれた方がいいのかもしれません。」とのアドバイスも頂くことが出来ました。
スライド要約
・ほぼ100%のEC化に成功
・2015年より右肩上がりの売り上げアップ
つづけてジック・ジャパンさんも負けてはいません!こちらもなんと、95%!
販売店様とコミュニケーションを取って利用促進しているとはいえ、驚きの数字です。
「商品特性上、カラーバリエーションやサイズ展開が多くカタログでは探しづらいんですよね。
やはり品番から検索したりする方が探しやすい。
また、多くの企業さまが悩まれている作業のひとつに、在庫確認があると思う。おそらく在庫情報って社内では管理しているものの、在庫数を知りたい販売店様が社外からは見えない状態だったりするんですよね。
それがECサイト上で閲覧してもらえることで効率のよく在庫確認ができるようになります。
販売店様も仕事のタイミングがあるため、自分の確認したい時に在庫数を確認できるようになるので、
おのずとEC化率が高くなっていくという具合です。」
ECサイトを単なる商品販売ツールではなく、
情報発信や、コミュニケーションを取れる場所に変えてきたジック・ジャパン。
この数字もますます高まっていくのではないでしょうか。
スライド要約
・EC化率、95%の達成
・商品、在庫データなどを「見える化」したことによる効率アップ
・販売店様側でもより良い運用が出来るようになる
反響については、複数ある中から大きく3つお選びいただいてのお話しでした。
おおまかに言うと、「業務効率が格段に上がった」という点。
1つ目はカタログ制作。
ECサイトを始める前はシーズン毎にカタログ制作を行っていたそうですが、
ジック・ジャパンはディストリビューターの側面もあるので各メーカー様がタイミングよく新商品を発表しなかったりします。
そうするとうまくカタログ上でご紹介できず、
結局お電話などでご案内したりするということを行っていたと言います。
しかし、ECサイトを始めたことにより、
新商品が出たタイミングでECサイトを更新していけるのでリアルタイム性が増しましたし、制作コストもなくなりました。
2つ目は受注業務がスムーズになった点。
ECサイト運用前は、在庫確認もそうですが、
FAX注文いただいた受注を別の社内システムに手入力するという作業があったそう。
当然ミスも発生しますし、注文量が増えれば作業量も増えるという状態。
それがいまでは、注文を受け付けた時にデータ化されているのでミスも減り業務効率があがりました。
そして、工夫した使い方ですが前受注。
いわゆる予約注文を管理することにも一役買っているとのこと。
色々な工夫で、より良い使い方を導けるのも、ECサイトの良い点ですね。
そして3つ目に情報発信。
いままでは案内を作って封筒に封入し郵送し届くまでに何日かかかる、
という様なことを行っていらっしゃいましたが、ECサイトに情報を一元化することでより効率よく情報を届けられるようになりました。
情報が豊富になってくるとECサイトの利用率も高まっていくというメリットもあります。
このように、業務のいろいろなタスクが効率化されていくと労働生産性も変わってきますよね。
業務をEC化することについて
ここまで、様々なお話を頂いてきましたが、
最後に業務をEC化することについて思う事は?という表題でフリートークを行って頂きました。
サイトの立ち上げに大変苦労されたと仰っていたジック・ジャパンの吉田様。
「もう無かったころには戻れない!
まだEC化をしていない企業にとってはかなりのチャレンジになると思うが、
そういったチャレンジが自社の成長につながるのではないか、と思う。」
驚異のEC化率と継続的な売り上げアップを続けているテンポスドットコムの品川様。
「社内の業務改善はもちろん、取引先も一緒に成長していけるようお互いに盛り上げましょう!
という気持ちで挑んでほしい。そう言った思いから、結果的にみんな良くなっていくのでは無いかと感じる。」
今回のパネルディスカッションでは、EC化に対してどのように向き合っていくか、
という点にフォーカスしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
特に、パネラー両社が苦労したことで仰っていた、
『ネット販売(EC)への理解』や『軌道にのせること』などは、みなさまにも気になる点だったのではないでしょうか。
ECサイトは「立ち上げて終わり」ではなく、むしろ「立ち上げてからが本番」なのだと、
改めて実感したパネルディスカッションでした。
今年で2回目となるこのパネルディスカッション。
昨年はECサイトとは?導入するにあたって注意すべき点は?など、「まずは導入するために」という観点でお話しさせて頂きました。[ 前回の記事はこちら ]
今回は、「ECサイトを導入してどうだったか」というまた違った観点からのアプローチとなりましたが、
開場の皆様の反応も、昨年から比べるとよりECサイトへの理解が深まっている事が見て取れるほどだと感じました。
今後も、BtoBのお取引をされる様々な業界の皆さまのお役に立てるよう、さらに邁進して参ります。
Bカート運営部からも、皆様に有益な情報を引き続き発信して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!