【2022年度版】BtoB-EC市場規模|EC化率は35.6%に成長@経済産業省
令和3年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372.7兆円(前年334.9兆年、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)、EC化率は35.6%(前年比2.1ポイント増)となりました。
令和04年08月12日、経済産業省は「令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書」を発表しました。
この記事では、本市場調査におけるBtoB-ECに関するトピックについて触れていきます。
1.国内BtoB-EC市場規模の推移
令和3年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、20.7兆円(前年19.3兆円、前々年19.4兆円、前年比7.35%増)となり、日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372.7兆円(前年334.9兆年、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)に増加しました。
出展:令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査) 報告書
ちなみに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が強まった令和元年における国内BtoC-EC市場規模は19.4兆円、国内BtoB-EC市場規模は350.0兆円でした。また、令和2年度においては令和元年の数字を下回る結果となっており、新型コロナウイルス感染拡大による国内経済状況の衰退が懸念されていました。
しかし、令和3年度の数値を見ると、令和元年の市場規模を上回る結果となっています。このことから、EC市場はBtoC・BtoBともにコロナ禍以前の勢いを取り戻していると評価できます。
更に、EC化率についてはBtoC-ECで8.78%(前年比0.7ポイント増)、BtoB-ECで35.6%(前年比2.1ポイント増)といずれも増加傾向にあり、日本国内の商取引の電子化が引き続き進展しているようです。
2.BtoB-EC市場規模の業種別内訳
出展:令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査) 報告書
前年比で市場規模が拡大した業種は、上位順に「鉄・非鉄金属」、「繊維・日用品・化学」、「小売」、「運輸」となっています。2020年度のデータにおける対前年比の伸び率が大きかったのは「小売」「建設不動産業」、「その他サービス」、「情報通信」となっていたことから、各業種でのお金の動きが2019~2020年当時とは大きく変化していることが読み取れます。
また、EC化率の観点からはもれなく全ての業種で数字が伸びており、中でも「輸送用機械(74.3%)」が前年同様にトップに立っています。次点で「食品(67.2%)」、「電気・情報関連機器(64.2%)」となっており、こちらの並びは前年度から変化していません。業種の市場規模が大きく変動しているものの、EC化率がそこに比例するというわけでは無いようですね。
2021年度の法人企業統計データを見ると、BtoB取引全体における「食品製造業」の総売上高は2019年44.8兆円、2020年41.8兆円、2021年40.3兆円と、近年減少し続けています。
しかし、売上高は減少しているもののEC化率は伸びており、2021年のBtoB-EC市場規模は27.1兆円と、前年比で2.4%増加する結果となりました。つまり、食品製造業全体での売上高は下がっている中でも、BtoB-EC経由での売り上げは伸び続けているという事です。
2021年は2020年に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって外出自粛のムードが広まりました。それにより、一般消費者の外食やホテルなどの宿泊施設利用が減少したとで、BtoBの食品製造業の市場規模が縮小したと推測できます。
そのような状況下でもEC化の動きは加速し、EC化率は前年比で3.9%増加しています。
これらのことから、BtoB全体の市場規模は新型コロナウイルス感染症拡大の収束状況に左右されながらも、ECによる取引は今後広がっていくことが期待できます。
3.国内BtoB-ECにかかるトピック
IP網化に伴うINSネットの廃止
近年騒がれている「INSネット(ディジタル通信モード)の廃止。具体的には、どのようなサービスで利用されているのかご存じでしょうか?
NTT東西からは下記のような利用例が提示され、2024年までのIP網への移行を推奨しています。
クレジットカードでの支払い時に、カードの信用情報を紹介するための機器に使用
パソコン等を利用して、メーカー/卸/小売間等で商品の受発注を行う
本社と支社間などの通信のバックアップに利用
(例:POSレジ ・・・店舗と本社間での売り上げ情報のバックアップ など)
保険診療の診療報酬を、オンラインで審査支払期間や健康保険事業者等に請求
事業所で高精細の複合機やFAXを利用、または店舗に機器を設置しFAXサービスを提供
上記の中でも、特に多くの企業での影響が考えられるのがEDI(Electronic Data Interchange)でのINSネット利用です。
企業間取引でEDIを用いている場合、2024年以降は現行のシステムを利用することは出来なくなってしまいます。よって、ディジタル通信モードを利用しない接続方式への切り替え、または新たな取引方法を早急に導入する必要があります。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の対応
2023年10月から、消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入が予定されています。これにより、課税事業者に様々な対応が求められています。
出展:令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査) 報告書
インボイス制度では、課税事業者は事前に適格請求書発行事業者として税務署への登録が必要な上、「適格請求書発行事業者登録番号」、「税率ごとの消費税及び適用税率」を追加した「適格請求書」を発行しなければなりません。また、請求書を発行する事業者は取引相手の求めに応じて「適格請求書」を発行する義務、請求書の写しを保存する義務が課されています。
2023年10月の制度開始に向け、課税事業者はシステム対応が必要になります。
そこでポイントとなるのが、適格請求書の内容につき電磁的記録での提供(電子インボイス)が可能とされた点です。
電子インボイスであれば、電子帳簿保存法における保存方法に準じた方法で保存することが認められていて、紙媒体を保存する場所を必要とせずに、請求書の写しを保存することが可能となっています。
しかし、この方法にも課題があります。
適格請求書をデータで発行・送付した場合、受け取った側もデータでしか保存できないという点です。『印刷して保管しておく』という方法を取ることはできません。この『印刷して保管』の方法には2年間だけ猶予期間があり、その間は、紙に印刷して保管することが許されています。しかし、2024年1月からは、受け取る側もデータでしか保存できなくなり、受け取る側も仕組みを整えなければなりません。
つまり、電子インボイスを導入を検討する際は、受け取る側のことも考えてシステムを選ぶ必要があるということです。
4.おわりに
最後までご覧いただき、ありがとうございます!
従来のEDIにおける通信方式の見直しや、請求書発行のルール変更が間近に迫る中、WebEDIや電子請求書などのWebサービスの導入が解決策として浮上してきているようです。
BtoBの受発注業務は、営業、マーケティング、受注担当、経理、物流と、幅広い範囲の仕事と関係しているにも関わらず、それらの業務をこなす人々はアナログ&オフラインで非効率な業務を行っているケースが多いのが現状です。しかし、『Bカート』だけではそれらの業務の全てを改善することはできません。
それぞれの業務に対応したWebサービスを組み合わせて導入し、全体の業務フローを刷新していくことが、これからのBtoBを生き抜くカギとなるのかもしれませんね。
■ 【外部リンク】令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書
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