【2024年最新】BtoB EC市場規模が465兆円を記録した理由とは?@経済産業省

2024月11月25日
【2024年最新】BtoB EC市場規模が465兆円を記録した理由とは?@経済産業省

2024年9月、経済産業省は新たに『令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』を発表しました。この記事では、本報告書を基に、BtoB ECの市場規模について解説していきます。また、今後の市場動向や注目のトピックについても取り上げていますので、ぜひご一読ください。

1. BtoB ECとは?

近年、BtoB ECが企業の生存や成長のカギを握る、重要な要素となりつつあります。そもそもBtoB ECとは何を指しているのでしょうか?この章で簡単に解説していきます。

BtoB ECとは、企業同士がインターネット上で行なう商取引(電子商取引・Electronic Commerce)や、取引を行なうためのサービスを指します。似た言葉として、楽天やAmazonに代表される企業と個人の商取引「BtoC EC」、フリマアプリなどを使用して個人間で取引を行なう「CtoC EC」が存在します。

ECというと、一般的に「商品を売り買いする仕組み」と捉えられることがありますが、企業同士の商取引であるBtoB ECにおいてはその限りではありません。BtoB ECは、原材料の調達から製造・流通・そして販売に至る「サプライチェーン」の効率化在庫管理をはじめとした受発注業務の省力化に寄与するシステムなのです。

従来、日本において企業同士の売買や取引は、主にファックスや電話といったアナログな方法が利用されてきました。しかし近年、国際的な競争力の低下や少子高齢化による労働力の減少が取り沙汰されるなか、企業の生産性を増加させるための取り組みとしてBtoB ECの重要性は増しており、企業からの注目も集まりはじめています。

BtoB ECについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご一読ください!
<BtoB-ECとは?新時代の企業間取引を解説!>

 

!Check Point ~BtoB ECとEDIの違い~ 

BtoB ECを説明するうえではずせないのが、EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)と呼ばれる、企業間で発生する受発注や請求といった定型的な業務を自動化できるシステムです。

一般的な「EC(カートシステム)」は、「商品の売買」を主目的とし、新規顧客の開拓や柔軟な商談にも対応できます。一方、EDIは大量の受発注処理や帳票の自動化・効率化を主目的とし、特に大企業やサプライチェーンの安定運営に採用されています。経済産業省では、EDIを含めた市場を「BtoB EC市場」として、市場規模を算出しています。

2.BtoB ECの市場規模|前年比45兆円増を記録


出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

2023年、日本国内のBtoB ECの市場規模は465兆2,372億円となり、前年比10.7%増を記録しました。また、商取引全体におけるECの利用率を表す「EC化率」に関しては、2.5ポイント増の40%となっています。

なお、企業・個人間での商取引であるBtoC ECの市場規模は14兆6,760億円であり、BtoB ECのおよそ40分の1の規模です。このことから、BtoB ECが非常に大きな市場であることがわかります。

BtoB EC市場が成長している理由

2020年以降、 国内のBtoB EC市場規模は成長を続けています。その理由を3つ考えてみましょう。

まず1つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大により非接触・非対面の需要が増し、業務のデジタル化が進んだことが挙げられるでしょう。企業間取引にも非対面が求められたなか、従来の対面営業を廃止し、社員が自宅からでも対応できるBtoB ECが支持されることとなりました。

2つ目の理由として、女性の社会進出や働き方改革による「働くことへの意識変化」がBtoB ECの普及を後押ししたと考えられます。たとえば、政府による産前・産後休業の推奨や時間外労働の上限規制などによって、人々のワークライフバランスを求める動きが高まりました。それに加えて労働力不足の影響もあり、企業が人材を安定的に確保するには労働環境を改善する必要が出てきたことで、業務の大幅な効率化を目指せるBtoB ECの需要が増したと考えられます。

最後に、政府の政策支援もBtoB ECの成長要因として見逃せません。日本の国際的競争力の低下に拍車がかかるなか、政府は会社規模でデジタル化を行ない業務効率化を実現する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推し進めています。また、2017年から公募が開始された「IT導入補助金」をはじめ、経済産業省を中心に各種デジタル化推進政策も続々と展開されています。そうした流れのなかで、BtoB ECの導入ハードルが低くなり、市場規模が増加していると考えられます。

3. 業界別の市場推移まとめ

出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

この章では、数ある業界のなかから代表的な5業界を取り上げ、詳しく市場推移をみていきます。

建設:27兆1,277億円

(単位:億円)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 前年比
市場規模 150,770 166,510 182,680 195,944 208,558 234,598 271,277 +15.6%
EC化率 10.7% 11.0% 12.0% 13.1% 14.3% 15.2% 16.9% +1.7%

2023年の建設業におけるBtoB EC市場規模は27兆1,277億円で、前年比15.6%となりました。EC化率も16.9%に上昇しています。経済産業省のレポートでは、「その他サービス業」「広告・物品賃貸」について3番目にEC化率が低い結果となっています。

食品製造:35兆5,307億円

(単位:億円)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 前年比
市場規模 229,760 244,040 266,010 264,672 271,027 296,443 355,307 +19.9%
EC化率 53.6% 55.6% 59.3% 63.3% 67.2% 70.7% 75.0% +4.3%

2023年の食品製造業におけるBtoB EC市場は、前年比19.9%増の35兆5,307億円と大幅な伸長がみられました。これは、消費者の外出機会増加や外食需要の高まりを背景に、業務用食品の取引が増えたことが主な要因と考えられています。またEC化率も75.0%と、他業種と比較して非常に高い水準となっています。

情報通信:22兆3,984億円

(単位:億円)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 前年比
市場規模 126,920 133,990 145,820 151,685 166,975 182,616 223,984 +22.7%
EC化率 18.3% 18.8% 19.9% 21.0% 21.8% 22.3% 23.4% +1.1%

情報通信業のBtoB EC市場規模は22兆3,984億円で、前年比22.7%増加しました。一方、EC化率は1.1%増の23.4%と控えめな結果に。情報通信・ITの先進的なイメージに反して、EC化はあまり進んでいないことといえるでしょう。

運輸:13兆9,465億円

(単位:億円)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 前年比
市場規模 93,130 97,550 104,610 96,843 110,884 133,433 139,465 +4.5%
EC化率 15.7% 15.9% 16.8% 18.2% 19.2% 20.9% 22.5% +1.6%

2023年の運輸業BtoB-EC市場規模は13兆9,465億円、前年比4.5%の成長を記録しました。EC化率は22.5%に達しています。

運輸業に関する注目すべきトピックとして、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が行なわれ、トラックの輸送力が不足してしまう懸念が挙げられます(物流の2024年問題)。2023年時点でのEC化率は緩やかな上昇傾向となっていますが、2024年以降、輸配送管理の自動化やデジタル受発注システムの導入が進み、EC化率にも大きな変化が起こる可能性があります。

卸売:121兆2,499億円

(単位:億円)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 前年比
市場規模 940,440 1,039,510 1,026,450 920,944 1,006,059 1,128,794 1,212,499 +7.4%
EC化率 26.9% 27.7% 28.8% 30.6% 32.3% 34.9% 37.5% +2.6%

2023年の卸売業におけるBtoB EC市場規模は121兆2,499億円で、前年比7.4%増となりました。EC化率は37.5%に拡大しており、要因として大手流通企業を中心にEDI(電子データ交換)技術の標準化が進んでいるようです。

日本はとくに、商品が消費者に届くまでの間に関わる卸売業者の数が多いことで知られています。そのため、卸売業者のEC化率が増えれば、国全体の物流コストの削減が期待でき、企業の成長や国際競争力向上につながるでしょう。今後も卸売業のEC化率の動向には注目していきたいところです。

4.BtoB ECの市場展望とトピック

経済産業省が発表しているデータをみても、BtoB ECの市場規模が今後も拡大を続けることは明らかです。ここでは、政府が推進する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を軸に、BtoB ECの将来展望について考察していきます。

企業データの「再利用」が加速

近年、DXの推進において重要視されているのが「再利用可能なデータの蓄積」です。急速な変化が求められる現代において、データをどれだけ効率よく再利用できるか、そしてデータを用いた事業分析ができるかどうかが、企業の競争力に直結しつつあります。これまでどおり、経営者や営業スタッフの経験・勘に頼っている企業は、細やかな経営分析ができず、競争に敗れるリスクが高まっています。

しかしBtoB ECを上手く活用すれば、インターネット上に顧客の取引データを貯められるため、他のツールと連携し、高度な経営分析が可能になります。BtoB ECを利用することで、これまで活かしきれなかった「情報」の数々を、企業戦略を強化する「価値ある武器」に変えることができるのです。今後この流れは一層強まると予想されるため、BtoB ECの普及も大きく進むとみられます。

カーボンニュートラル促進による影響も

DXを通じたデータの再利用は、世界が目指す「カーボンニュートラル」の実現にも貢献します。カーボンニュートラル実現に向けた国際的な動きが活発になるなか、日本でも「GX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法」が成立し、国を挙げた支援が加速しています。

これらの流れから、企業活動に伴うCO2の排出も、今や世界中で厳しく監視される時代になりました。製造から流通・販売そして廃棄に至るまで、サプライチェーン全体でのCO2排出削減が求められる時代が到来しています。BtoB EC単体ではCO2排出量の削減を直接実現することは難しいですが、BtoB ECの導入を起点に、CO2排出量の見える化と、業務効率化による排出量削減が求められるようになるでしょう。


 このように、DXとカーボンニュートラルの拡大を背景に、BtoB ECのニーズも増していくと予想できます。むしろ、企業の成長と環境負荷軽減の両立を目指すために、BtoB ECが必要不可欠な要素となっていくのではないでしょうか。物流に関わる人だけでなく、ビジネスに関わるすべての人が、BtoB ECの市場規模・市場動向に注目しておくとよいでしょう。

5. BtoB ECを軸にしたDXが明暗を分ける

BtoB EC市場は、DXやカーボンニュートラルの拡大により今後も大きく拡大することが見込まれています。実際、デジタルシフトを積極的に進めることで、業務を効率化し、競争力を高める企業が増えています。

BtoB ECプラットフォーム「Bカート」は、企業がBtoB ECに取り組むうえで必要な機能が揃った、BtoB特化のECサービスです。企業はBカートを導入することで、顧客ごとの受発注データを集積し、分析や連携を行ないやすくなり、単なる受発注業務を超えた戦略的なビジネス展開が可能になります。Bカート導入により多くの企業が業務効率化を実現し、ビジネスプロセス全体での改善効果を実感しています。一例として、下記のインタビューも是非ご一読ください。

<初の育休取得も!水産業者がBカートでDXを実現>
<受発注業務の負担が大幅に軽減、EC化で販路拡大>

DXへの対応が企業の成長や競争力の強化に直結する重要な要因となっています。これを読んでいる皆様も、企業の競争力を高める一助として、BtoB ECの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

著者について
Bカート運営部
Bカート運営部 Bcart Operations Department

BtoBならBカート!で、おなじみのBカート運営部です。BtoB(企業間取引)のEC化を促進し社会にインパクト与えます。より良いサービスをご提供できるようスタッフ一同奮闘中!