【最新】BtoB EC市場規模が465兆円を記録した理由とは?@経済産業省

EC事業を始める、あるいは拡大を検討する際、「自社ECサイト」を立ち上げるべきか、それとも「ECモール」に出店するべきか、という選択肢に悩む方は多いでしょう。それぞれに長所と短所があり、自社の状況や目指す方向性によって最適な選択肢は異なります。
この記事では、自社ECサイトの基本的な知識から、ECモールとの違い、メリット・デメリット、そして構築方法や成功のポイントまで、網羅的に解説します。あなたのEC事業の次の一歩を考えるうえで役立つ情報となることを目指します。
1.自社ECとは?
自社ECとは、企業や個人が独自のドメインを取得し、自社で企画・構築・運営を行うオンラインストア(ECサイト)のことです。インターネット上に自社の本店を構えるようなもので、デザインや機能、販売戦略に至るまで、すべてを自社の管理下で決定できるのが大きな特徴です。
独自のECサイトを持つということ
独自のECサイトを持つということは、店舗の看板(ドメイン)から内装(サイトデザイン)、品揃え(商品)、接客方法(マーケティング施策)まで、すべてを自由にコントロールできることを意味します。
これにより、他社とは違う、自社ならではのブランドイメージを顧客に直接伝え、ファンを育てていくことが可能となります。
ECモールとの基本的な違い
一方、ECモールは、Amazonや楽天市場のように、一つの大きなウェブサイトの中に複数の店舗が出店する形態です。これは、巨大なショッピングセンターにテナントとして出店するイメージに近いでしょう。
ECモールはそれ自体が強力な集客力を持っていますが、デザインの制約や手数料の発生など、モールが定めたルールの中で運営する必要があります。自社ECとECモールの主な違いを以下の表にまとめました。
比較項目 | 自社EC | ECモール |
---|---|---|
位置づけ | 独立した路面店 | ショッピングセンター内のテナント |
集客 | 自社で努力が必要 | モールの集客力を活用できる |
デザイン | 自由度が高い | テンプレートやレイアウトなど制約が多い |
ブランディング | しやすい | しづらい |
手数料 | なし(決済手数料等は除く) | 販売手数料、出店料などが発生 |
顧客データ | 自由に収集・活用可能 | 限定的なデータしか得られない |
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2.自社ECサイトを運営するメリット
自社ECサイトには、ECモールにはない多くのメリットが存在します。これらは、事業の収益性やブランド価値を長期的に高めていくうえで重要な要素となります。
高い利益率を確保できる
自社ECサイトの最大のメリットの一つは、利益率の高さです。ECモールに出店する場合、売上に応じた販売手数料や月々の出店料など、様々なコストが発生します。
しかし、自社ECサイトではこれらの手数料がかからないため、売上の多くを自社の利益として確保できます。これにより、価格競争に巻き込まれることなく、適正な価格で商品を提供し、安定した収益基盤を築くことができます。
自由なデザインでブランドの世界観を表現できる
サイトのデザインやレイアウトを自由にカスタマイズできる点も、自社ECの大きな魅力です。商品の魅力が最大限に伝わるような写真の配置や、ブランドカラーを基調としたデザイン、独自のコンテンツなどを通じて、ブランドの世界観を余すところなく表現できます。
これにより、顧客に強い印象を与え、他社との差別化を図り、ブランドのファンを育成することにつながります。
独自のマーケティング施策を実行できる
自社ECサイトでは、キャンペーンやセールのタイミング、クーポンの発行、ポイント制度の導入など、マーケティング施策を自社の裁量で自由に企画・実行できます。ECモールの規約に縛られることなく、顧客の動向や販売戦略に合わせて、迅速かつ柔軟な施策展開が可能です。
たとえば、特定の顧客層に向けた限定セールや、新商品の先行予約販売など、独自のアイデアをスピーディーに実現にできます。
顧客データを収集・活用できる
自社ECサイトでは、サイトを訪れた顧客の行動データ(閲覧ページ、滞在時間など)や購買データといった貴重な情報を直接収集し、分析・活用することができます。どのような顧客が何に興味を持ち、なぜ購入に至ったのか(あるいは至らなかったのか)を深く理解することで、サイト改善や商品開発、ターゲットを絞った広告配信など、データに基づいた効果的なマーケティング戦略を立てることも可能となります。
3.自社ECサイトを運営するデメリット
多くのメリットがある一方で、自社ECサイトの運営には乗り越えるべき課題も存在します。
事前にデメリットを理解し、対策を講じることが成功の鍵となります。
集客を自社で行う必要がある
自社ECサイトは、立ち上げただけでは誰にも訪問してもらえません。
ECモールが持つような自然な集客力はないため、自社の力で顧客を集める必要があります。SEO対策(検索エンジン最適化)で検索結果の上位表示を目指したり、Web広告を出稿したり、SNSで情報を発信したりと、継続的な集客活動が不可欠です。これらの施策には専門的な知識やコストが必要となります。
サイトの構築と運用にコストと手間がかかる
ECサイトをゼロから構築する場合、制作会社への依頼などで初期費用が発生します。
また、サイトを安定して稼働させるためのサーバー維持費や、システムのメンテナンス、セキュリティ対策など、継続的な運用コストも必要です。ECモールの場合はプラットフォームが用意されていますが、自社ECではこれらの管理をすべて自社で行うか、外部に委託する必要があり、その分の手間とコストがかかります。
成果が出るまでに時間がかかる
集客を自力で行う必要があるため、自社ECサイトはオープンしてすぐに売上が上がるわけではありません。
サイトの知名度が上がり、安定したアクセスが集まるまでには、一般的に数ヶ月から1年以上の時間が必要とされています。ブランドを認知してもらい、顧客との信頼関係を築き、成果が出るまでには、地道な努力と中長期的な視点が必要です。
4.ECモールへの出店はどう違う?メリットとデメリット
自社ECとの比較対象として、ECモールのメリットとデメリットも改めて確認しておきましょう。自社の状況によっては、ECモールの方が適している場合もあります。
ECモールのメリット:集客力と信頼性
ECモールの最大のメリットは、その圧倒的な集客力です。Amazonや楽天市場といった有名モールには、既に多くの利用者がいるため、出店するだけで多くの人の目に触れる機会を得られます。
また、モールの知名度やブランド力が、出店しているショップへの信頼感にもつながり、特に無名のブランドにとっては大きなアドバンテージとなります。初心者でも比較的簡単に出店できる手軽さも魅力のひとつです。
ECモールのデメリット:手数料と価格競争
ECモールのデメリットは、やはり手数料の高さです。月額の出店料に加え、商品が売れるごとに販売手数料が発生することも多く、利益が圧迫されがちです。
また、同じモール内に多数の競合店が存在するため、類似商品を扱う店舗との間で価格競争に陥りやすい傾向があります。結果として、値下げを繰り返す消耗戦になり、ブランド価値を損なうリスクもはらんでいます。
5.自社ECサイトの構築方法と費用相場
自社ECサイトを構築するには、いくつかの方法があります。
それぞれに特徴とかかる費用が異なるため、自社の予算や規模、目的に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | 特徴 |
---|---|---|---|
SaaSカート | 0~10万円 | 数千~数万円 | 最も手軽。専門知識が不要で初心者向け。カスタマイズ性は低い。 |
パッケージ |
100万円~ |
3万円~30万円 | 機能が豊富で拡張性が高い。中~大規模サイト向け。 |
オープンソース |
0円~ |
1万円~数万円 |
自由なカスタマイズが可能。専門知識と自己責任での運用が必須。 |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 数十万円~ | 完全にオリジナルなサイトを構築可能。最も高コストで開発期間も長い。 |
SaaS型:低コストで手軽に始める
SaaS(Software as a Service)型は、ECサイトに必要な機能を備えたソフトウェアをクラウド経由で利用するサービスです。
サーバーの準備や専門知識が不要で、比較的低コストかつ短期間でサイトをオープンできます。BASEやShopifyなどが代表的で、初めて自社ECに挑戦する企業や個人事業主に最も選ばれている方法です。
パッケージ:機能豊富でカスタマイズも可能
ECサイトに必要な基本機能がパッケージ化されたソフトウェアをベースに、独自のカスタマイズを加えて構築する方法です。SaaS型よりもデザインや機能の自由度が高く、外部システムとの連携も柔軟に行えます。年商1億円以上を目指すような、本格的にEC事業を展開したい中~大規模の企業に適しています。ecbeingなどがこのカテゴリに含まれます。
オープンソース:自由度が高いが専門知識が必須
ソースコードが一般に公開されており、誰でも無償で利用できるソフトウェアを使ってサイトを構築する方法で、EC-CUBEなどが有名です。非常に自由度が高い反面、サイト構築やセキュリティ対策、トラブル発生時の対応などをすべて自社の責任で行う必要があります。高度な専門知識を持つ技術者の存在が不可欠です。
フルスクラッチ:理想を追求できるが最も高コスト
既存のシステムを使わず、完全にゼロからオリジナルのECサイトを開発する方法です。デザインや機能を思い通りに実現でき、理想のECサイトを追求できる一方で、開発には数千万円単位の膨大な費用と長い期間を要します。独自のビジネスモデルを持つ大企業などに採用されることが多い選択肢です。
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6.自社ECサイトの成功に不可欠な3つのポイント
明確なコンセプトとターゲット設定
まずは、「誰に、何を、どのように届けたいのか」というサイトのコンセプトを明確にすることが重要です。ターゲット顧客の年齢、性別、ライフスタイルなどを具体的に描き、その顧客が魅力を感じるような商品やデザイン、サービスは何かを徹底的に考え抜きます。この軸がブレなければ、一貫性のあるサイト運営が可能になります。
効果的な集客戦略の立案と実行
サイトのコンセプトが決まったら、ターゲット顧客にサイトの存在を知ってもらうための集客戦略を立てます。SEOで自然検索からの流入を増やす、SNSを活用してファンと交流しサイトへ誘導する、リスティング広告で購買意欲の高い層にアプローチするなど、様々な手法を組み合わせて、継続的に実行していくことが大切です。
リピーターを育てるCRM施策
新規顧客の獲得にはコストがかかるため、一度購入した顧客に繰り返し利用してもらう「リピーター」の育成が、安定した売上を確保するうえで極めて重要です。購入後のフォローメールや、お得な情報を届けるメールマガジンの配信、会員ランクに応じた特典の提供など、顧客との良好な関係を築くためのCRM(顧客関係管理)施策にも力を入れましょう。
7.まとめ:自社ECで持続的な事業成長を目指そう
自社ECサイトは、ECモールへの出店に比べて構築や集客に手間とコストがかかるものの、高い利益率や自由なブランディング、顧客データの活用といった大きなメリットがあります。これらは、他社との差別化を図り、顧客と長期的な関係を築きながら事業を成長させていくための強力な武器となります。
本記事で紹介したメリット・デメリットや構築方法を参考に、自社の目標や事業フェーズに合ったEC戦略を検討し、持続的な成長を目指してください。
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本記事で紹介したのは主にBtoC向けECサイトの取り組みですが、「本業はBtoCだけど、BtoBにも挑戦したい」「BtoBとBtoCの両方をやりたい」という方も多いはずです。
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